アイゼンハワーツリーのクローンが誕生 オーガスタナショナルの執念
2015/04/09 10:46
2015年のメジャー初戦「マスターズ」開幕前日の8日(水)、マスターズ委員会のビリー・ペイン会長が恒例の公式会見で、昨年伐採した大木、通称「アイゼンハワーツリー」の“遺伝子”を受け継いだ苗木を育てていることを明らかにした。
アイゼンハワーツリーは、17番ホールのティグラウンドから約210yd地点で左から中央にせりだしていた松の木。オーガスタナショナルGCのメンバーで、スライス気味のティショットを何度もぶつけていたドワイト・D・アイゼンハワー元米大統領(在位:1953-61年)が、在職中の1956年に「この木は切るべき」と提案したが、委員会が却下したという逸話でその名がついた。
以来、クラブのシンボルとなり、選手の第1打を悩ませてもいたが、昨年2月の大雪によって倒れ、伐採に至った。
ペイン会長はこの日、切り株の一部をカンザス州にある元大統領の記念館に寄贈したことともに、倒木の“遺伝子”を採取し、すでに育成を開始したことを明らかにした。「あの木は何物にも代えられない歴史的な象徴。遺伝物質を保存したことをお知らせできることをうれしく思う。残存するものは3つ。2つは接ぎ木という手法で生育を始め、ひとつは苗木になった。これは既にこのオーガスタナショナルの大切な宝物だ」
2014年大会はアイゼンハワーツリーが伐採されて初めて開催された大会だった。選手からは「ティショットが打ちやすくなった」という意見も聞かれる中、ペイン会長は「昨年大会でスコアに大きく影響しないことも分かった」と委員会側の見解を話した。
「未来のチェアマンが、この標本をどうするか決めてくれるだろう」。数十年後、数百年後、コースのどこかに失われたシンボルのクローンが植えられるかも?