自己ベストから今季ワースト 石川遼の「今の自分」
膨らみかけた期待が、あっという間に萎んだ。ノースカロライナ州のセッジフィールドCCで開催中の米国男子ツアー「ウィンダム選手権」3日目。8アンダーの7位タイから出た石川遼は1バーディ、2ボギー、2ダブルボギー、1トリプルボギーの「78」と大崩れし、通算イーブンパーの67位タイに急降下した。
トップと2打差で迎えた待望の週末。出だし1番のボギー発進は米ツアー自己ベストの「62」を叩き出した前日と同じだった。ところがこの日はカムバックする兆しを一向に見せられない。チャンスホールの5番(パー5)で2メートル強のバーディパットを打ち切れず、続く6番で2つ目のボギーを叩いた。
11番を3パットのダブルボギーとして、上位争いからさらに脱落すると、13番でドライバーでのティショットを右に曲げてOB。その後のショートゲームでも粘り切れず、トリプルボギーを叩いた。最初のバーディが第2打をピン奥2メートルに付けた17番では遅すぎる。最終18番も右ラフからの第2打を右サイドへ曲げるトラブル。4オン2パットのダブルボギーで、前日の貯金を一気に吐き出した。
2月の「ウェイストマネジメント フェニックスオープン」第2ラウンドと同じ今季ワーストスコア。ドライバーショットについて「少し振り切れていなかった。いいリズムで打てた感じは少なかった」と反省したが、この日、より悔やんだのは「セカンドショット、パッティングでチャンスをものにできなかった」ところ。
ティショットでフェアウェイを捕えたのは、パー3を除く14ホール中7ホールで前日と同じ。一方でパーオン成功ホールは18ホール中16ホールから7ホールに減少した。9番、11番では1メートルのパットを外し「きょうの自分のパッティングはどうなんだろう?」と疑心暗鬼にもなった。リスク承知でドライバーを握る攻め方にはある程度、“罰を受ける”覚悟ができているが、スコアメークの要である部分が揺らぎ「それがやっぱり悪い方、悪い方に行って、ドライバーも振り切れなくなってきた」と、負の連鎖を呼んだ。
米国で久々の優勝争いの感覚は味わえなかった。「昨日は徐々にやってきていることを出せるようになった感触をもらえた。でも、今日みたいなこともあるのが今の自分。自分の力」と謙虚に受け止める。「非常に悔しいけれど、やるべきことは明確。あしたも怯まずにやりたい」。屈辱の後退にも視線を落とさず、語気を強めた。(ノースカロライナ州グリーンズボロ/桂川洋一)