63位発進 復帰初戦の松山英樹「なんもないっす」
朝霧の影響で30分遅れのスタートとなった「ファーマーズインシュランスオープン」初日、左手親指付近の負傷から8週間ぶりのツアー出場となった松山英樹はスコアの出やすいノースコースをラウンド。上がり2ホールの連続バーディでなんとかイーブンパーに戻したが、明日2日目は63位タイから難しいサウスコースをラウンドする。
久しぶりにツアーの大舞台に怪物が戻ってきた。ドライバーを握った復帰1発目の1番(パー5)のティショットは大きく右へ飛び出してラフの中へ。「すごい球打ちましたよね(苦笑)」。続く2打目は木の間を抜いたものの、ラフに食われて止まってしまう。3打目はかろうじてグリーンに届いたが、残ったパットは10メートルほど。だが、このバーディパットはカップをかすめることもなく2メートルもオーバーした。
精密機械が作動するまでにウォーミングアップが必要なように、試合を離れていたことによる感覚のズレは練習だけでは戻らない。とはいえ、この2メートルを沈めるのが松山らしい。風格すら感じさせる“パー”で、再スタートの幕は上がった。
その後は、カラーから直接パターで沈めたり、アプローチをピタリと寄せてバーディを奪ったりと随所に好プレーがあったのは確か。その一方で、3パットや手を離すショットも混在し、実戦で磨きを掛けていくべき部分も多くある。
「よくイーブンパーで回れたなと。ラッキーですね」。松山自身、4バーディ4ボギーと出入りの激しい18ホールに感じたのは、自分の荒削りな姿だった。「すぐに結果が出るとは思っていないので、ゆっくりやりたいです」。その通りかもしれないが、怪物のセリフとすれば額面通りに受け取るのも芸がない。
「今日はなんもないっすよ」と、足早に立ち去ろうとする松山。「4日間やってどうなるか。初日が終わっただけなので、疲れもないです」。厳しい2日目が待っているとはいえ、このまま引き下がることはないはずだ。(カリフォルニア州ラ・ホヤ/今岡涼太)