米ツアー初のノーボギー!7位浮上の松山が挙げた収穫
マレーシアのクアラルンプールG&CCウェストコースで行われている米ツアーとアジアンツアーの共催試合「CIMBクラシック」2日目。2アンダーからスタートした松山英樹は米ツアーでは初となるノーボギーラウンドで「68」をマーク。4つスコアを伸ばして通算6アンダーとし、首位と7打差の7位タイへ順位を上げた。
しかし、この日も結果と内容は裏腹だった。9時20分に10番から出た松山は、16番でバーディを先行させるも、30度を超える蒸し暑さが病み上がりの体を容赦なく痛めつける。大粒の汗を流しながら迎えた18番(パー5)では、ファーストカットからの2打目で球が上がらず、フェアウェイからの3打目はダフってグリーンを20ヤード近くショート。「技術的な問題なのか、体力的な問題なのか分からなかった」と、当の本人も困惑を隠せない連続ミスショットでパーオンを逃した。だが、4打目をピンそば20センチへぴたりとつけてパーセーブ。この日の生命線は、これまで課題としていたアプローチだった。
折り返した5番(パー5)では、残り196ヤードの第2打を、進藤大典キャディが「絶対入れてはいけない」と言うグリーン左サイドのバンカーに、6Iで打ち込んだ。
グリーンエッジからピンまでの距離は4ヤードで、しかもピンに向けては下り傾斜。3打目は進藤さんが「今日、一番難しかったと思いますよ」というハードな状況に陥った。「本当は8メートルくらい左からバーディパットを打つ予定だった(編注・松山の3打目地点から見て)けど、ライがこれ以上ないくらいよかったので、(ピンをデッドに)いかなきゃいけないと思った」という松山。意を決してサンドウェッジを振り抜くと、その球はカップを1.5メートル過ぎて静かに止まり、この日4つめのバーディを生んだ。
「プレジデンツカップ」では、よりスピンのかかる丸山茂樹に教わったバンカーショットを“成功の確率を考えて”封印したが、今回は「やったんじゃないですか。本人は言わないと思いますけど」と進藤さん。「うまく打てたと思います」とこのショットを振り返った松山はやはり、プレジデンツカップで習得したショットか?の問いには「違います」と首を振った。
この日も幾度となくショットで手を放した。しかし、不満そうに天を仰いでも、ティショットはフェアウェイをわずかに外れる程度で、アイアンショットもピン方向へは飛んでいく。「これだけショットがぶれると話にならない」と吐き捨てながらも、「今年一番いいアプローチができた」と収穫を挙げた。小さな成長を積み重ねて、松山は高い理想を目指していく。(マレーシア・クアラルンプール/今岡涼太)