2013年 全英オープン

あとが無い状況で見せた一打/羽川豊が選ぶ今日の一打

2013/07/22 05:26
ピンチの16番でもきっちりとパーセーブ。勝負の1打だったと羽川さん

今週がプロ転向後10試合目。その間に国内ツアーで2勝を挙げて、2度出場した海外メジャーでは2試合ともトップ10入り。驚異的なパフォーマンスを見せつける21歳のルーキー、松山英樹のすごさとは?「全英オープン」最終日、羽川豊が注目したのは“あとがない状況で見せた一打”だった。

首位の背中を追いかけて迎えた「全英オープン」のサンデーバックナイン。16番(パー3)で松山はティショットをグリーン右手前のバンカーに入れてしまう。手前のあご近くに止まった球を打つために、松山は左足をバンカー内へ入れ、右足は外に出すというスタンスを強いられる。ピンはそこから5ヤードほどのところ。しかし、このショットをピン上2メートルに寄せ、このホールをパーで切り抜けた。

「あれは、エッジから4~5ヤードくらいしかないピン位置。ちょっとでも緩んだらまたバンカーに入ってしまうし、強めに入ったら4~5メートルはオーバーしてしまう。あそこはあとが無い状況で、17番、18番とバーディ、バーディで来ればチャンスがある。そういう苦しい状況で見せたナイスショット。

アダムが14番で3パットをしたり、ウェストウッドが3番で左に引っ掛けて崩れていったように、あるいはミケルソンが17番で勝負に出て2オンさせたショットのように、試合には勝つ1打と負ける1打がある。それは置かれた状況によって違ってくる。苦しい状況でパーセーブできたのが、ひとつの彼のうまさだろうね」

また、羽川氏が大会を通して感じていたのは、松山のショットレベルの高さ。それは、体格から来るものだという。

「“昔は2Iを打ててこそプロ”と言われていたけど、最近はユーティリティとか5Wとか、楽に球を上げられるクラブが出てきて、2Iや3Iを使わなくなってきている。ロングアイアンはパワーがないと球が上がらないし、飛距離もでない。これからの日本人は、松山のような体作り、パワーゴルフを覚えないといけない」。

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