『バッバ&マスターズ』 エピソード集
昨年のマスターズ最終日、プレーオフ2ホール目にて伝説的なショットを放った“バッバ・ワトソン”。現在34歳。06年ツアーデビューから注目され、特にその「飛距離」でライバルを圧倒。ツアーデビューから6年で平均飛距離では毎年トップまたは2位に入っている。そのパワーで再びオーガスタを制圧すべく大舞台へと戻ってくるワトソンが語る、マスターズにまつわる数々のエピソードを紹介しよう。
■プレーオフでの“ザ・ショット”・・・「あのショットは大変ではなかった」
常に言っていることだけれど、良いスイングが出来れば、ショットも決まる。周りの連中のような問題は抱えていないからね。自分の感覚を頼りにすればショットを打ち損じることはないよ。フェアウェイのど真ん中からでも完璧なライから曲がるショットは打てるだろ? 難しいライからでも僕はスイングスピードとハンド・アイ・コーディネーションがあるから打てる。
だってプロだからね。だからオーガスタでのプレーオフでのセカンドショットは、周りが考えるよりも大変ではなかったんだよ。
■真剣に打ったプレーオフでのショートパット
プレーオフでのファーストパットは、カップから6インチ手前で止まった。周りは声援を送ってくれたけれど、僕自身は「ワオ!オーバーしなかったのか」という感じだったね。その1週間前、(女子メジャーのクラフトナビスコ選手権で)キム・インキョンが同じようなパットを外してプレーオフで負けたのを見ていたから不安だった。僕が6インチのパットを外して泣き出したり、両手を放り出したり、突然怒り出す姿を想像していたかい? そうなっていたらゴルフ史上に残る屈辱的な瞬間になっていたはずだよ。なんと言ってもグリーンジャケットがかかる一打だったから。「このチャンスを棒に振るなよ」と、”何か”が自分に囁いたような気がした。ショートパットをあれだけ真剣に打ったのは、あの時だろうね。
■ グリーンジャケットが9000ドルのリングに化けた!?
全ての始まりは火曜日の練習ラウンドでのことだった。僕はウェブ・シンプソンとリッキー・ファウラーと回っていた。ウェブのキャディを務めるポール・テソリは妻のミシェルをオーガスタに初めて帯同させていて、彼女はロープの外を歩いていたんだ。4番ホールのフェアウェイを僕らが歩いていた時、ポールは「良い話がある」と囁いてきた。「実はミシェルに、オーガスタでヤシの木を見つけられたら、妻が欲しがっていた指輪を買ってやるという約束をしてね。まだ見ないで欲しいんだけど、実はヤシの木は丘を登ったところに生えているんだ」と彼が言うものだから、「ミシェル、木はあそこにあるそうだよ!あそこに!!」と木を指して僕は叫んだ。
ポールは、僕が秘密をばらすなんて信じられないと言ってきた。ウェブもリッキーも僕を指差して秘密を守れない人間と罵っていたよ。ポールの話では、ミシェルが欲しがっていた指輪は9000ドルもする代物だったらしい。だから彼には「今週優勝したら、僕が指輪を買うよ」とポールに伝えた。他の2人も同じ約束をしたんだ。実を言うと、その約束を忘れてしまっていたんだけれど、優勝してから1時間くらい経ってクラブハウスに座っていたら突然思い出してね。「そうだ、ポールの奥さんに指輪を買ってあげる約束だった!」となって、数週間後に小切手を送った。グリーンジャケットが結婚指輪に代わった瞬間だったよ。
■マスターズで優勝する2週間前に養子を迎え入れた
自宅では電球すら自分で交換しないんだ。妻のアンジーにやってもらっているんだよ。彼女は身長194センチで僕よりも少し高いからね。まぁ、それが理由でもないんだけれど、もし僕が交換して電球が割れて、それで手を切ってしまったらゴルフが出来なくなるから。そうなったら最悪だからね。
子供を授かることでここまで色々と変わるなんて面白いものさ。マスターズで優勝する2週間前にカレブを養子として迎え入れる前は、自分が赤ん坊のオムツを交換する姿なんて想像もしていなかった。
今では赤ん坊が飛行機の中で泣き叫んでも何とも思わないね。子供がする行為でイライラもしなくなった。もう何百万回とオムツを交換しているからね。来るなら来い!って感じかな。
■マスターズでもやってみたいホールインワン
マスターズではイーグルを記録するとクリスタル製のゴブレット(柄の無い脚付きグラス)セットをもらえるんだけれど、ホールインワンならもっと特別なギフトでももらえるのかな? それともイーグルの時だけかな? 以前イーグルを3度記録した年があって、ゴブレットが6つ入ったセットをもらった。それから合計5度イーグルを記録したし、出場するたびに最低1度は記録しているね。去年を除いてだけれど。でも、イーグルを記録しなかった去年は、もっと大きなトロフィーを手にしたよ。
ゴルフを始めてから31年間ホールインワンを記録した経験が無かったんだ。過去にプレーしたパー3のホール数を考えれば稀なことだろうけれど、2010年の全米オープン予選の時に初めて記録した。それから数週間後、全英オープンの練習ラウンドでも記録した。是非マスターズでも記録してみたいね。
■グリーンジャケットは誰にも触らせない
オーガスタナショナル以外でグリーンジャケットを着たのは、デヴィッド・レターマン、ピアース・モーガンのショーに出演した時とか、ニューヨークでの取材の時だけかな。それからは自宅のクローゼットに保管してあるし、見てもいないね。誰も着ていないよ。よく着せてもらいたいと言われるけれど、誰にも触らせない。
※もっとバッバ・ワトソンを知りたければ・・・
今回のマスターズ関連エピソードに加え、ユーモアあふれるコメント、チャリティ活動、同世代ゴルファーとのバンド活動など、素顔のバッバ・ワトソンがわかるエピソード20をご紹介します。さらにアイアンショットのレッスン付き!
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『マスターズ王者 バッバ・ワトソン大特集!』