2011年 全英オープン

三田村昌鳳が語る全英オープン(3)

2011/07/12 21:17

ゴルフはアンフェアなゲームである?

ロイヤルセントジョージズ4番ホール、プレーヤーの前に立ちはだかる巨大なバンカー (David Cannon/R&A/R&A via Getty Images)

今回の全英オープン開場は、ロイヤルセントジョージス。通称サンドイッチと呼ばれているコースである。サンドイッチの街の中心は、ちょうど六本木ヒルスがすっぽりと埋まってしまうほどの大きさである。そこに狭い路地のような曲がりくねった路があって、中型者が1台通ると対向車をよけるのに苦労するような道が多い。

ここは南のセントアンドリュースと呼ばれ、初めて全英オープンが、スコットランドでなくイギリスで開催されたことでも有名である。イギリスの最南端、ドーバー海峡を渡るドーバーの港町からすぐ近くにある。

少し身近なエピソードでは、小説・映画で世界的に有名な「007シリーズ」のジェームス・ボンド生みの親、作家・イアン・フレミングが、実はロイヤルセントジョージスのメンバーだった。ちょうど小説の中で、ボンドがゴールドフィンガーを負かしたときのコースの描写は、いうまでもなくロイヤルセントジョージスそのものだったという話が残っている。

全英オープンが行われるリンクスコースでは、何が起きても不思議でないとよく言われる。実際、1日の天候も四季があると言われるほど急変する。朝6時30分から夕方4時11分まで、1番ホールから次々にスタートしていく。およそ10時間にわたってスタートが続くわけだ。だから、正確にいえば、選手の条件はすべて同じというわけではない。風速30メートルもちょくちょくあるし、雨、寒さも加わる。

ゴルフは、アンフェア(不公平)なゲームである、ということを真摯に受け入れて戦える選手が、いいスコアを出す。

「ゴルフというスポーツを創造した人は、自然が与えるものと奪うものをゲームの中に受け入れたんだ。風や雨にチャレンジしてこそ真のゴルファーなのだと思う。ネバー・ギブアップ!もしゴルフでゲームを投げてしまうと、人生でもすぐ投げやりになってしまう。また一度投げるくせがつくと、二度、三度、四度、と投げやすくなる」と語るトム・ワトソンの言葉が、まさしく全英オープンを物語っている。

2011年 全英オープン