【GDOEYE】C.カウチのアプローチ
2011/03/20 09:26
左の写真、どこか不思議な気がしませんか?
一見何でもないバンカーショットのように見えるが、よく手元を見てほしい。
そう。この選手のグリップ、右手と左手が“逆”なのだ。多くの右打ちの選手は、左手がグリップエンドに近く、右手がクラブヘッド側にあるものだが、いわゆるクロスハンド(リバースグリップ)になっている。
パッティングの際にクロスハンドにする選手は多い。けれどもこちらのクリス・カウチはドライバー等ほとんどのクラブは順手で握るが、80ヤード以内のショットやアプローチをこうして打っている。
同選手がこの方法を取り入れたのは2004年にまで遡る。当時、短い距離のショットに悩んでいたカウチは、南アフリカ人のコーチにアドバイスを求めた。すると「南アフリカにはクロスハンドでアプローチをする選手がたくさんいる」と勧められ、さっそく実践。最初のうちはトップやシャンクばかりだったというが、努力の結果1、2か月たった頃にはこのスタイルに落ち着き、2006年「チューリッヒクラシック」では、最終日に18番でラフから15メートルのチップインバーディを沈め、米国PGAツアー初勝利を飾っている。
フロリダ州ウェスティンイニスブルックリゾートで行われている米国男子ツアー第12戦「トランジションズ選手権」の第3日。通算9アンダーの首位タイで出たカウチは、3バーディ、2ボギーの「70」で通算10アンダーの6位タイに後退。ジャスティン・ローズ(イングランド)に明け渡したトップとは3打差となったが、5年ぶりの優勝も射程圏だ。
いわゆる“常識”や“基本”からは逸脱しているかもしれない。けれど、そんな個性派の選手が皆、世界NO1ツアーで戦うため研鑽を続けている。(編集部・桂川洋一)