裸足になって死守した“赤字” 久常涼「18番だったからできた」
◇米国男子プレーオフ第1戦◇フェデックスセントジュード選手権 初日(13日)◇TPCサウスウィンド(テネシー州)◇7288yd(パー70)
18番ホールのギャラリーが、にわかにざわついていた。フェアウェイ左サイドの池のふちに、久常涼のボールは止まっていた。靴を脱ぎ、靴下を脱いで池の中にスタンスを取る。ここまでは、トーナメントでは珍しくない光景だろう。
ところが23歳は、いったん池から上がると、今度は靴下と靴を急いで履いた。そしてふたたび水中でスタンスを取り、第2打をグリーン手前まで運んで歓声を浴びた。素足だと滑って「打てない」と判断したための選択だった。
「18番だったからできた。残りホールを気にしないでいいから。“赤”で上がれてよかった」。このパーセーブで「69」の“赤字”のアンダーパーを死守。初めて挑むプレーオフシリーズで、1アンダー26位と堂々の滑り出しになった。
幕開けは「ちょっと残念だった」と振り返る。1番でグリーン奥のエッジから3パットのボギー発進。それでも5番で2mのパーパットを沈め、7番でグリーン奥ラフからのアプローチでエッジにワンクッションさせて80cmに寄せるなど、粘り強くパーを拾い続けた。これが終盤につながっていく。
14番(パー3)で「入ってなかったら3パットしていたかな」という14mのバーディパットを沈める。530ydの16番(パー5)では第2打をきっちりとグリーン手前まで運んでスコアを伸ばした。ホールを重ねるごとに、感触が良くなっていく感覚はあったという。最終18番はピンチを招く結果とはなったが、左ドッグのフェアウェイに対して、攻めたラインを選んだティショットでもあった。
年間ポイントランク(フェデックスカップ)43位で、初めて足を踏み入れたエリートフィールド。シグニチャーイベント(昇格大会)への出場権獲得となるポイントランク上位50人による第2戦「BMW選手権」進出を、まずは目下のターゲットとする。もちろん、その先の30人による最終戦「ツアー選手権」に向けても、一つでも順位を上げていきたいポジションにいる。
「変わらずに頑張ります」。水に濡れた靴を脱ぎ、裸足でホールアウトした23歳は、2日目へと視線を向けた。(テネシー州メンフィス/中村文香)