午後9時55分ホールアウトは「妥当でしょう」 比嘉一貴は初日最終組で日没と勝負
◇メジャー最終戦◇全英オープン 初日(16日)◇ロイヤルバークデールGC(イングランド)◇7223yd(パー70)
比嘉一貴は開幕前日の15日、午後4時から最後の練習ラウンドを行った。ギャラリーはおろか、選手たちも宿舎へと帰る時間帯。あえてこの時間にプレーしたのは、翌日の第1ラウンドのスタートを見越してのことだった。初日のティオフは午後4時21分。全体の最後の3サムに名前があった。
1860年に始まった世界最古のゴルフトーナメントは、予選ラウンドから全選手が1番ホールでティオフする伝統的なスタート形式を採用し続ける。第1組は早朝6時35分。日本では考えられないほど長い、夏場の日照時間がそれを可能にする。
午前中に起床した比嘉は朝昼兼用の食事を多めに摂り、もう一度眠りについて午後にコース入りした。「日本では遅いスタートのときは最後に体力が尽きてしまうこともあった。このくらいの時間の過ごし方で良い準備ができた」と万全に近い状態で、定刻通りプレーを開始。スコアを2つ落として迎えた9番で8mのバーディパットを沈め、後半に巻き返す態勢を整えた。
バックナインは終盤、あえなく時間との戦いになった。進行が遅く、組が詰まるようになってペースが乱れた。16番で1打目を放った後、小走りでボールのもとに向かう。すでに辺りは暗くなりはじめ、視界がはっきりしない。1つ前の組にいた片岡尚之は最終的にグリーン上の傾斜を読むのに、両足の感覚を一番の頼りにしたという。
この日の日没時刻は午後9時32分。18番に入ったときにはすでに5分以上が過ぎ、暗闇が迫る中で懸命にボールを進めた。3バーディ、6ボギー「73」でホールアウトしたのは午後9時55分。「18番はものすごく難しいホールですけど、(翌日早朝に)残す選択肢はなかった」。慌ただしく宿に戻り、未明に起床して、限られた時間で準備するようなスケジュールを思えば、無理にでも18ホールを終わらせることが最優先事項だった。
ゴルフトーナメントの予選ラウンドは午前組、午後組を問わず、有名プレーヤーがそれぞれのプライムタイムにプレーできるように各組が構成される。スタートが早い組、遅い組に振り分けられるのは、下剋上を狙うような選手たち。
ロイヤルリバプールで行われた2023年大会以来、3回目の出場となった比嘉は「5月23日時点のフェデレーションランキング上位5人」の資格でフィールド入りした。昨年、アジアンツアーの年間王者に輝いたにもかかわらず、初日最終組のグルーピングを「妥当でしょう」と受け入れる。3オーバー106位で迎える2日目の開始時刻は午前11時15分(日本時間午後7時15分)。弱音を吐く時間もない。(イングランド・サウスポート/桂川洋一)