「やる気、出ませんねえ」とブラックジョークも 松山英樹は5年ぶり制覇が遠のく停滞
◇メジャー第1戦◇マスターズ 3日目(11日)◇オーガスタナショナルGC(ジョージア州)◇7565yd(パー72)
3日目にして初めて1Wを握った1番で、見事なアイアンショットから作った1.8mの絶好機を逃した。2番のパー5を取りこぼした。それでも、松山英樹は3番でバーディを先行した。1Wショットをグリーン左手前まで運び、砲台グリーンへのアプローチでしっかりスピンを利かせてピタリと絡めた。
「いいバーディが獲れましたし、あのピンポジションでバーディが獲れたのは久々だったので良かった」。1打目をきっちり左サイドに置き、対角線で攻めなければ寄せるのも難しい3番の右手前ピンでバーディを奪ったのは、コロナ禍で11月開催だった2020年大会の初日以来だった。4番(パー3)、5番まで3連続バーディとたたみかけ、自身より2時間近く遅いスタートの首位ロリー・マキロイ(北アイルランド)にプレッシャーをかける猛チャージが始まりそうな気配が漂った。
しかし、その勢いを続けられない。打ち下ろしのアイアンショットを大きく左に外した6番(パー3)はグリーンのかなり手前にキャリーさせるチッピングで2mにつけたが、パーパットがカップ左を抜けた。8番(パー5)を獲った直後、9番でも1Wショットを右の林に入れてボギー。11番は池が気になる手前ピンに対して、グリーン右手前に外した2打目は“保険”のかけ方としてセオリー通りながら、アプローチを寄せきれず、2.5mをしのげなかった。
「11番とか12番っていうのがね、入ってくれるとっていう感じですけど…」。12番(パー3)も、ティショットを左サイドからカットしてピン下1.8mにつけた。アーメンコーナーに陣取るパトロンを沸かせた後のパッティングがもどかしい。わずかに手元のポジションが低い構えからのストロークは右にミスして悔しさがあふれた。
ペタッとしたオーガスタのグリーン周りの芝質に対するアプローチの感覚のアジャストを進める中で、パッティングに負担がかかるシーンも散見。6バーディ、6ボギーが入り乱れる展開で試行錯誤もにじみ、17番では1.5mのパーパットを打つ前にカップに正対して珍しく素振りのようなアクションを入れた。
ムービングデーに伸ばせず、5年ぶりのグリーンジャケット奪還は厳しくなった。首位とは9打差の2アンダー29位。「やる気、出ませんねえ…」と、初出場で予選落ちした東北福祉大の後輩・片岡尚之の発言を引き合いに出して苦笑した。「すみません、やる気はあるんですけど…」と続けた心にもないブラックジョークは、優勝だけを目指してこの地へ乗り込み、張り詰めていたものがわずかに緩んだ瞬間。最終日に意地の巻き返しへ、その足で練習場に向かった。(ジョージア州オーガスタ/亀山泰宏)