マキロイのボールをキャッチした少年は10年後、マスターズで一緒にプレーした
◇メジャー第1戦◇マスターズ 初日(9日)◇オーガスタナショナルGC(ジョージア州)◇7565yd(パー72)
ロリー・マキロイ(北アイルランド)にとっては日常の何気ない一コマに過ぎなかったかもしれないが、ひとりの少年は生涯そのシーンを忘れることはない。2016年の8月、ジョージア州アトランタで行われたPGAツアー「ツアー選手権」。ロープサイドで群衆を作った9歳の男の子がキャッチしたボールには今も、ナイキのロゴと、マキロイのニックネーム“RORS”の文字が鮮明に刻まれている。
当時小学生だったメイソン・ハウエルは10年後の春、宝物のボールを持参したオーガスタナショナルGCでマキロイとプレーをともにした。前年の「全米アマチュア選手権」を史上3番目の若さ(18歳)で制して出場権を獲得。同大会の優勝者は予選ラウンドでディフェンディングチャンピオンと同組になるのが「マスターズ」の慣例で、まさに夢が現実のものになった。
スタートの1番、ハウエルは1Wをフルスイング。「右サイドのバンカーを越えられるか試してみたくて、思いっきり振りました」という、フィニッシュでキャップが脱げるほどの“マン振り”ショットは左隣のホールのフェアウェイへ。マキロイの笑いを誘い、雰囲気はいきなり和んだ。「いいショットじゃなかったけれど、ロリーと笑いながら歩くのは最高でした」。腕の感覚を失うほどの緊張感からも次第に解放されたという。
3バーディ、4ボギー2ダブルボギーの「77」をたたき5オーバー65位と出遅れた一方で、5アンダー首位発進というマキロイの貫録のプレーを目の当たりにした。「どうやったらそんなに球を遠くに飛ばせるんですか?」と冗談交じりに話しかけつつ、トラブルを何度も回避するシーンに感嘆。「すぐに落ち着いて対処して、パットをたくさん決めていく。トップで滑り出すにはああいうプレーが求められるんだと思う」と脱帽した。
2、3歳の頃にはPGAツアーのテレビ中継に見入っていたというハウエルは、14歳で「59」をマークしたこともある逸材として早くから注目されてきた。フロリダ州の高校を経て、今秋にジョージア大に入学予定。心が躍る時間は、少なくともあと1日は続く。「ティショットもアイアンショットもいい感じ。あしたは巻き返したい。変えるところ?キャップのボタンをひとつ、“きつく”締めようと思うよ」と屈託なく笑った。