キャディもあ然…松山英樹が窮地で見せたチップインイーグルをセルフ解説
◇米国男子◇アーノルド・パーマー招待 byマスターカード 2日目(6日)◇ベイヒルクラブ&ロッジ(フロリダ州)◇7466yd(パー72)
2016年に死去したアーノルド・パーマーの冠を博す招待試合は、少数精鋭によるシグニチャーイベント(昇格大会)にして予選落ちがある。36ホール終了時点での上位50位タイ、または首位と10打差以内にとどまることが決勝ラウンド進出の条件。初日18位で滑り出した松山英樹はこの日、中盤の後退でカットラインと攻防した。
ティショットを右に曲げた前半9番で2つ目のボギーをたたくと、続く10番でフェアウェイからの2打目が「紙一重で」グリーン手前にこぼれ、ウェッジで浮かせた3打目がピンを3mオーバーして連続ボギーにした。
さらなる悪夢は11番。右サイドのフェアウェイバンカーから、両足が芝の上にある厄介なライの2打目を池に落とした。「ジャッジミスもありますけど、(池を越えられる距離の)右に逃げればいいものを、ボギー、ボギーとして、少しでも楽なパットを打ちたいと思って短い番手(9I)で無理に打った感じはある」。ラフからのアプローチも寄せきれず、ダブルボギーとした時点で50位タイに順位を下げた。
12番(パー5)でバーディを取り返した後も、14番(パー3)では上りのチップを2mショートさせてボギー。ショートゲームでピンチを切り抜けられないシーンが続く中、起死回生の一打で自らを救ったのもまたウェッジワークだった。
16番(パー5)、右サイドからの2打目はグリーン左手前のフェアウェイにこぼれた。つま先下がりのポジションから目線より高いグリーン面に立つピンまで、エッジからの距離が4ydしかない。LWで上げ、カラーの先に落ちたボールがスライスラインを伝う。ジャストタッチでカップに収まるチップインイーグルで予選通過を手繰り寄せた。
ローテーションで2週前の「ザ・ジェネシス招待」からバッグを担ぐ田渕大賀キャディは、窮地でのプレーにあ然とした。追い風もあり、「(上り傾斜に)クッションさせて転がし、奥からの(バーディ)パット勝負かな…」と考えていたところだったという。
「最近、チップインが少なかった」という松山が状況と判断を解説する。「最初はクッションかなと思っていたが、今週はうまくいかなさそうだな…と。上げるにしても10番(3打目)でミスをした。その“中間”の(高さを出そうと)56度で上げるかとも思ったけれど、何を考えてもイメージが出ない。『もう60度を開いて、思い切って振るしかない』と思ったら、一番良いイメージの球が出た」。アプローチの引き出しの多さはもちろん、普通であればスピードを出して“振れない”状況で、振ってソフトに打ち出せる世界屈指の技が最高の結果を生んだ。
「狙って入れたというよりは、たまたま入ったというのが近いですけど。まあ、うれしいですよね」と笑顔を見せ、「100球打って1回入るか、150球で2回入るかどうか…」と冷静な分析も忘れない。1イーグル2バーディ、4ボギー1ダブルボギーの「74」。通算イーブンパー29位で迎える週末に向け、「あしたはスタートが早い。伸ばして、(最終日は)ゆっくり午後に出たいなと思います」と息を吐いた。(フロリダ州オーランド/桂川洋一)