「ゴルフをやめたいくらい」の失意から 松山英樹は最強シェフラーを破る
◇米国選抜VS世界選抜対抗戦◇プレジデンツカップ 最終日(29日)◇ロイヤルモントリオールGC(カナダ)◇7279yd(パー70)
激闘をたたえ合う握手の後、最後に笑みがこぼれた。最終日のシングルスマッチで実現した両軍のエース対決。世界選抜はチームで敗れたものの、松山英樹は米国のスコッティ・シェフラーを1UPで下して一矢を報いた。
1番でシェフラーにバンカーからの3打目をカップにぶち込まれ、いきなりビハインドを負った。相手は今季「マスターズ」を含む7勝を挙げ、「パリ五輪」で金メダルも獲得したPGAツアーの年間王者。チームで最高位、世界ランキング7位の松山でも「ボコボコにされる可能性もあった」と苦戦は覚悟の上だった。
ティショットをピン右1mにつけた7番(パー3)で追いついてから、一進一退の展開になった。「我慢すればチャンスはある」。14番で4mのバーディパットを沈めて再びタイに持ち込むと、両手を挙げてスタンドのファンをあおり、15番で2連続バーディを決めて1UP。3パットを喫した16番でリードを失いながら、直後の17番(パー3)、ピン右1.5mにつけるスーパーショットが相手の3パットボギーを呼び込み、土壇場でリードした。
ウィニングパットは18番、1mのパーパット。「(パリ)オリンピックの時も手が震えていたけれど、あのパットも手が震えて緊張しました」と、“ここぞ”の場面で精神力の強さを発揮し、白星を手にした。
前日3日目、午後のフォアサム(1つのボールを交互に打ち合い、1ホールごとのスコアを競う)では3&2で悔しい逆転負け。ラッセル・ヘンリーとコンビを組んだシェフラーを相手に、松山はパッティングに苦しんで、イム・ソンジェ(韓国)の足を引っ張る格好になった。「(ダブルスの)3敗は全て僕のせい」と責任を背負い込み、「きのう終わった時点ではゴルフをやめたいくらい、すごく嫌な気持ちだった」と明かす。
チームが劣勢で迎えたこの日、「(気持ちを)切り替えて、きょうスタートする時にはもう『絶対に勝ってやる』という気持ちでやっていた」と奮起。コンシードも含めて8バーディの猛攻で、最後にエースとしての意地を見せた。