金メダルもカウントして! シェフラーがウッズ以来17年ぶりツアー年間7勝
◇米国男子プレーオフ最終戦◇ツアー選手権 最終日(1日)◇イーストレイクGC(ジョージア州)◇7490yd(パー71)
前半8番、ガードバンカーからの2打目は狙いから大きく右にそれた。まさかの“シャンク”から、同じ最終組で相対するコリン・モリカワに2打差に迫られる痛恨のボギー。窮地に陥っても、リーダーは「キャディのテディ(テッド・スコット)が『僕らがゲームを支配している』と集中させてくれた」と落ち着いていた。続く9番(パー3)で4Iでの第1打をピンそば1.5mにつけ、そこから圧巻の3連続バーディ。スコッティ・シェフラーは最後まで強かった。
プレーオフシリーズ第2戦「BMW選手権」終了時のポイントランク順に初日スタート時のスコアが決まるハンディキャップ戦。10アンダー単独首位からのティオフで、第1ラウンド終了時には2位に7打差をつけた。「この試合以外ではたぶんあり得ない。他の試合とは違う感覚で、疲れ果てた」と“勝って当然”の重圧もあった。
やはりトップで臨んだ2022年大会では最終日に「73」と振るわず、ロリー・マキロイ(北アイルランド)に6打差をひっくり返され2位。昨年も1位からビクトル・ホブラン(ノルウェー)に逆転された。「過去のことは考えすぎず、未来のことを考えようと思うけれど、過去2年はとてもきつかった。3回目にしてフィニッシュできた。本当にうれしい」。初日から60台を並べて最終日に「67」。ハンディを含む通算30アンダーは大会最多アンダーパー記録になった。
ネオマレット型のパターを握り始めたシーズン序盤戦、3月「アーノルド・パーマー招待」を手始めに勝ちまくった。「ザ・プレーヤーズ選手権」、「マスターズ」とビッグタイトルばかりを持ち帰り、5月にはメレディス夫人が長男のベネットちゃんを出産し、父になった。直後の出場試合だった「全米プロ」では交通違反で警察に拘束されるトラブルも。話題を引っ張り、「どう言葉で表現したらいいものか…。長くて、楽しい年だったよ」と笑う。
今大会のボーナス2500万ドル(約36億5000万円)を除く、年間獲得賞金2922万8357ドル(約42億6734万円)は史上最高額になった。1983年以降、1シーズンで7勝以上したのは史上3人目で、2007年のタイガー・ウッズ以来17年ぶり(ウッズ=1999年8勝、2000年9勝、06年8勝、07年7勝/ビジェイ・シン=04年9勝)。
そしてシェフラーの手元には、ウッズのキャリアにはない五輪の金メダルもある。「(金メダルがツアー優勝に)カウントされないのがまだ理解できない。でも、素晴らしい年だった。結果を誇らしく思う」。誰が何と言っても、新世代の絶対王者にふさわしい。(ジョージア州アトランタ/桂川洋一)