世界1位と3打差ティオフ「大変ありがたい」 松山英樹は新ドライバー投入も
◇米国男子プレーオフ最終戦◇ツアー選手権 事前情報(27日)◇イーストレイクGC(ジョージア州)◇7490yd(パー71)
プレーオフシリーズ第2戦「BMW選手権」を途中棄権した2日目の朝、松山英樹はコースを去ると、宿舎のベッドに飛び込んだ。キャンセル理由になった腰痛だけでなく、こじらせていた風邪も厄介で、39度5分近い発熱にも苦しんだという。「金曜日、土曜日はずっと寝ていました」。アトランタには25日(日)に到着。翌26日からコースで調整を始めた。
2年ぶりに帰ってきた最終戦。フェデックスカップポイントランキング50位に終わり、連続出場記録を9年でストップさせた昨季を経て、30人のエリートフィールドに戻った。「1年でカムバックできたんでうれしいですね」と素直に喜ぶ。
2月の昇格大会「ジェネシス招待」で2年ぶりに優勝。2週前のプレーオフシリーズ初戦「フェデックスセントジュード選手権」で2勝目を挙げた。ポイントランキングは棄権前と同じ3位をキープ。ランク順でスタート時にスコア差を設ける大会はことし、世界ランクでもトップに立つスコッティ・シェフラーに3打差の7アンダー3位からティオフする。最終戦が現行制度に変わった2019年以降、20年の4アンダー6位を更新する自己最高の位置だ。
今季6勝のシェフラーの活躍ぶりをたたえるからこそ、「年間を通じたストロークでは100打くらい離れていると思う。それが3ストロークしかないのは大変ありがたいですよね」と笑った。年間王者戴冠へ向け「3打差からスタートできるので、逆転したい気持ちはある」と意気込みつつ、「まずはティに立って、勝負できるところに行きたい」と慎重な言葉を残したのは、コンディションの整備が最優先になるからだ。
「少しずつ良くなっているが、まだ50%、60%」という腰の状態が不安要素。一方で、イーストレイクGCで1Wを握る表情は開幕前から明るい。今週ツアー会場に届いたばかりの住友ゴム工業(ダンロップ)の新シリーズとみられる「スリクソン ZXi」シリーズを、すべての契約選手に先駆けてテストを開始した。
26日までに全米ゴルフ協会(USGA)とR&Aの適合ドライバーヘッドリストに掲載された4機種から、松山は“スタンダードモデル”というべき「ZXi」とロースピン仕様の「ZXi LS」を試した。「(水面下で)何回かテストはしていましたけど、実際にここまで根を詰めてやることはなかなかなかった」と練習場とアウト9ホールのティでスイングを繰り返した。
実戦での投入については「自分の体の状態次第」と明言は避けたものの、「でも今、使っているドライバーよりも(新しいモデルが)信頼できそうな感じなんで」と感触の良さを言葉にした。「あしたもう一回打ってみて、現状のドライバーより自信が持てたら使う感じです」。開幕前日の28日(水)、大一番への最終確認を行う。(ジョージア州アトランタ/桂川洋一)