最終戦へ「治して、やれれば」 松山英樹1打差2位から棄権を選択
◇米国男子プレーオフ第2戦◇BMW選手権 2日目(23日)◇キャッスルパインズGC(コロラド州)◇8130yd(パー72)
首位に1打差の5アンダー2位で迎えた2日目のスタート前、松山英樹は腰痛を理由に棄権を決めた。スタート前のショット練習を途中で切り上げ、隣の打席にいた同伴競技者のコリン・モリカワに別れを告げた。
プレーオフシリーズ初戦「フェデックスセントジュード選手権」で優勝。前日は2連勝に向けた絶好の滑り出しのようでいて、痛みと風邪で満身創痍だった。最終18番の2打目の直前には雷雨の影響で3時間10分の中断も強いられ、宿舎で休息に入る時間も短くなった。「きのうは(プレーが)できたんですけどね…」。背中痛を発症した昨年に続き、同じ大会で再び試合途中にコースを去った。
このシリーズ第2戦でシーズンを終えた1年前を経て、今年は年間ポイントレース(フェデックスカップ)上位30人による次週の最終戦「ツアー選手権」(ジョージア州イーストレイクGC)への2年ぶりの進出が決まっている。ポイントランキングで初日ティオフ時のスコアに差を設ける変則的な試合で、年間王者のタイトルを狙う。
棄権により松山のランク上昇は見込めないものの、この日の暫定順位ではトップのスコッティ・シェフラーに3打差でスタートする3位のままだ。最終戦は2019年に現行のハンディキャップ戦を採用。第2戦までのシーズンの積算ポイントとランクはストローク差に代わり、大会の優勝者を年間王者とする。リアルタイムで試合を追う人にとって展開が分かりやすくなった反面、シーズンを通じた活躍の優劣が1試合に凝縮される割合が高くなった。
実際にシェフラーは現システムについて「ばかげていると思う」と指摘。仮に松山が今週、2連勝してポイントランクでさらに優位に立っていたとしても、次週、欠場や棄権で4日間72ホールを戦い抜けなければ、“フィールド最下位”の扱いになり、ランク30位でシーズンを終えることになる。
棄権するのならば、最終戦よりも第2戦――。ある意味で戦略的な見方を松山本人は「そういう問題ではなくて、(きょう)できないと思ったので」と全否定したが、選択は賢明にも思える。「治して、やれれば」とシーズン最後の戦いに目を向けた。(コロラド州キャッスルロック/桂川洋一)