窃盗被害もなんの 銅メダリスト・松山英樹「シェフラーに近づいた」 年間王者、37億円獲得へ大きな一歩
◇米国男子プレーオフ第1戦◇フェデックスセントジュード選手権 最終日(18日)◇TPCサウスウィンド(テネシー州)◇7243yd(パー70)
銅メダル獲得の興奮が冷めぬうちに、松山英樹が新たな金字塔を打ち立てた。2位に5打差の単独首位から4バーディ、2ボギー1ダブルボギーの「70」で回り通算17アンダー。PGAツアーのエリート選手によるプレーオフシリーズの初戦で、2月「ジェネシス招待」以来の今季2勝目、PGAツアー通算10勝目を飾った。
悲願の銅メダルを獲得した「パリ五輪」の直後に起こった事件。フランスから米国に戻る経由地の英国ロンドンで窃盗被害にあった。自身のクレジットカードが入った財布のほか、早藤将太キャディと黒宮幹仁コーチのビザが発給されたパスポートが盗まれた。
シーズンをともに戦ってきた2人が日本に一時帰国するアクシデントを強いられながら、松山は初日の「65」を手始めに2日目、3日目と「64」を並べてフィールドを圧倒。今春、久常涼をサポートした田渕大賀キャディとの急造タッグでコースを攻略し、最終日も一時は逆転を許す苦しい展開ながら後続を2打差で振り切った。
PGAツアーで2007年に始まった年間ポイントレース(フェデックスカップ)上位選手によるプレーオフシリーズでの優勝は、アジア出身選手として初めて。2014年「ザ・メモリアルトーナメント」で挙げた初勝利から10年、節目の2ケタ勝利に花を添えた。
ポストシーズンを彩る最終局面で、大会前に8位だったポイントランクを3位に上げた。次週のシリーズ第2戦「BMW選手権」(コロラド州キャッスルパインズGC)を経て、2年ぶりに最終戦「ツアー選手権」(ジョージア州イーストレイクGC)に進む。
目には今季6勝と圧倒的な力を見せてレースのトップを走るスコッティ・シェフラーの背中がある。「今週勝ててシェフラーに近づいた。来週も頑張って、できるだけ近づいてアトランタ(ツアー選手権)でチャンピオンになれるよう頑張りたい」と意気込む。
最終戦は直前のランクに応じてスタート時のスコアにハンディキャップを設けるストローク戦。「ことしの成績に限って言えば、スコッティは(最終戦開始時の2位に)2打しかリードをもらえないのはかわいそうだなというのはあるが、それ以外の人たちにとってはめちゃくちゃ良いシステムだと思う」
次に目指すは2500万ドル(約36億9100万円)のボーナスがかかる、ツアー年間王者のタイトル。松山の熱い夏はまだ続く。(テネシー州メンフィス/桂川洋一)