「五輪4位」→「プレーオフ負け」から3年 松山英樹が通算10勝目に王手
◇米国男子プレーオフ第1戦◇フェデックスセントジュード選手権 3日目(17日)◇TPCサウスウィンド(テネシー州)◇7243yd(パー70)
節目の通算10勝目へ、カウントダウンが始まった。11アンダーの首位タイから出た松山英樹は1イーグル5バーディ、1ボギーの「64」。通算17アンダーで後続に5打差をつけた。2月の「ジェネシス招待」以来となる今季2勝目、PGAツアーでの2ケタ勝利に、王手だ。
独走態勢はじっくりと築いた。前半3番(パー5)の2打目で残した260ydは「(向かい)風があったので5Wでは届かないし、3Wで(普通に打ったのでは)は大きい」という中途半端な距離。右サイドに広がる池を警戒しながら3Wでコントロールショットを放つと、ボールはピン左奥4mについた。緩やかなフックラインを沈めて鮮やかなイーグル。リーダーボードの頂上で足場を固めた。
初日、2日目に比べて強く吹いた風は、暑さを和らげ、プレーを難しくした。2位以下の選手たちがスコアを伸ばしあぐねる中、松山は要所を何度も締めた。グリーン右手前からの2打目をウェッジで寄せた8番(パー3)、3mのパットを沈めた12番、3.5mをまたパターでねじ込んだ17番は、いずれもバーディを奪った直後のホール。「ボギーになりそうなところでしっかりとパーセーブできたので良かったなと思います」と納得できる。
3日間で全体2位の74.07%(40/54)のパーオン率に、全体1位(+6.893)のストローク・ゲインド・パッティングが絡み合い、「65」「64」「64」を記録した。「この3日間と同じようなプレーができればチャンスがある場所にいる」と認めつつ、連日のロースコアで築いた5打差は逆に「このコースなのであってないようなもの」だと言わせた。「そこは考えずにプレーしたい」と逃げ切りへの余裕は感じさせない。
肉体的なコンディションが気がかりでもある。ホールアウト後、「ラウンド中は気にならなかったんですけどね。今、めちゃくちゃ痛いんで。軽く打って帰ります」と浮かべたのは苦悶の表情。最終調整には丁寧さが際立った。
2021年、「東京五輪」で銅メダル争いの7人プレーオフに敗れた翌週、「WGCフェデックスセントジュード招待」で三つ巴のプレーオフでも負けたのがこのTPCサウスウィンド。3年後の夏、メダルを勝ち取るリベンジに成功。次は、主戦場でのビッグタイトルだ。(テネシー州メンフィス/桂川洋一)