表彰式の国歌に涙 金メダルのシェフラー「米国人であることを誇りに思う」
◇パリ五輪 男子 最終日(4日)◇ル・ゴルフ・ナショナル(フランス)◇7174yd(パー71)
表彰台の真ん中に立ち、国旗掲揚と国歌斉唱が行われる。金メダルを胸にさげたスコッティ・シェフラーはあふれる涙をぬぐった。「小さい頃から、国歌斉唱のときはキャップをとって胸に手を当てて歌うんだ。米国人であることの意味、自由であることの意味、そして今週のように国を代表する誇りについて、両親は幼い頃から教えてくれた。自分が生まれた国、米国人であること、メダルを持って帰れることを誇りに思う」。幼少期から育んできた愛国心の結晶だった。
4打差6位から出た最終日は、いきなりの3連続バーディの後に停滞した。9番(パー5)では2mのバーディパットを外して6ホール連続でパーが並んだ。「9番は絶対に決めなければいけないパットだった」と振り返る痛恨の一打。揺れる心に落ち着きを取り戻させてくれたのは、キャディのテッド・スコット氏だった。「テディが、正しい精神状態を保ち、結果にとらわれず、今やっていることに集中できるようにしてくれた」
2日目のバックナインからスコット氏が全てのパットのラインを読むようにしていたという。今季はあまりやっていなかったことで、「本当にいい読み、いい仕事をしてくれた」。折り返して3ホールで2バーディと再加速。その勢いを終盤につなげた13番のパーパットをターニングポイントに挙げる。果敢に攻めたセカンドのウェッジショットをグリーン左に外し、3m弱のパーパットを残しながらしのぎ切った。
ナイスパーセーブの直後、14番から一気にアクセルを踏み込んで怒とうの4連続バーディ。左ラフから8Iでチャンスメークした17番のバーディパットを打つ直前には、終盤の数少ないチャンスホール14番(パー5)で最終組のジョン・ラーム(スペイン)がトラブルに見舞われたこと、トミー・フリートウッド(英国)がバーディを獲れなかったことをリーダーボードで把握していた。勝負どころでしっかり獲れるのが世界ランキング1位の強さ。最難関の18番も右ラフに入れながら、8Iでしっかりセンターを捉えて勝ち切った。
3月「アーノルド・パーマー招待」から4月「マスターズ」を含めて出場5試合で4勝と勝ちまくり、6月はシグニチャーイベント2試合を制覇。栄光のシーズンに、またひとつ輝かしい勲章が加わった。「僕は達成したことに順位をつけないようにしている。家庭生活という点では、ベン(5月に生まれた長男のベネットちゃん)は間違いなく今年最大のトピック。今週サポートしてくれた家族とともにオリンピックのメダルを持って家に帰れるのは、特別なことだよ」。夫として、父として充実感に浸った。(フランス・ギュイヤンクール/亀山泰宏)