2024年 パリ五輪

グリーン上でウェッジの妙技に「特別じゃない」 松山英樹は金メダルへ圧巻スタート

2024/08/01 22:41
好調なスタートを切った

◇パリ五輪 男子 初日(1日)◇ル・ゴルフ・ナショナル(フランス)◇7174yd(パー71)

1番で6mのバーディトライがカップの手前で左に切れた松山英樹だったが、5m強を流し込んだ2番からパッティングがさえわたった。右のガードバンカーから寄せてタップインバーディとした3番(パー5)で2連続。7番からは4連続バーディと加速した。

8アンダーまで伸ばした終盤17番でピンチが到来。左ラフからのセカンドを飛ばせず、60ydほどのウェッジショットも4m強のパーパットを残した。それでも、よどみないストロークで決めきり、最終18番もバンカーから寄せワンのパーセーブでボギーなしの8バーディ「63」。圧巻のスタートを支えたパッティングにも「結果として入っているんで、良かったです」と涼しい顔で言った。

8アンダーの単独首位でホールアウト

「フェアウェイに行っていたし、チャンスも多かったので良かったと思います」とうなずくショットは、フェアウェイキープ率78.57% (11/14)、パーオン率88.89% (16/18)とスタッツ面でも安定感抜群の数字が並ぶ。グリーンは早朝の雷雨でもスピードがキープされていた一方で軟らかく、ほぼキャリーしたエリアで止まる感覚。ソフトなグリーンだからこそ、むしろ精度が際立った。

随所でショートゲームの見せ場も作った。左のセミラフから芝を“かんだ”ようなセカンドが上の段に止まった5番は右サイドにピンが切られ、間に尾根もあった。グリーン上でウェッジを持つと、きれいにボールを拾うチッピングで2m強に寄せてナイスパーセーブ。とっさの状況判断でイメージを膨らませて実行する作業も「まあ、年間何回もやっているので。特別なことじゃないです」。グリーンの真ん中にバンカーが口を開けるカリフォルニア州リビエラCCの名物6番(パー3)など、最高峰の舞台で培った経験値がものをいう。

ル・ゴルフ・ナショナルが舞台

折り返し9番(パー5)で奪ったバーディも巧みな小技から。左下がりの状況だった3打目のアプローチは、練習ラウンドで繰り返していた土手に当てて勢いを殺す低い球ではなく、キャリーでグリーンに乗せて傾斜を走らせた。ライやピンまでの距離から即座に確率の高い選択肢を導き出せるジャッジ、それを実行できるスキルが際立つプレーも「結果がバーディなので(良かった)」。終始淡々とした口ぶりながら、金メダルへ好スタートを切った。(フランス・ギュイヤンクール/亀山泰宏)

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