「悲しいくらいハッキリ出た」力の差 石川遼がメジャーで痛感した“弱点”
◇メジャー第3戦◇全米オープン 2日目(14日)◇パインハーストリゾート&CC パインハースト No.2(ノースカロライナ州)◇7548ヤード(パー70)
コロナ禍のはじめ、石川遼がスイング改造を決断したのはロングゲームの精度向上を図ることに大きな目的があった。200yd以上先のターゲットのいかに近くに球を運べるか。パインハーストでの全米オープンは、その過程がまだ道半ばであると教えてくれた。
6オーバー120位の出遅れは、2バーディ、4ボギーの「72」では取り戻せなかった。出だし10番(パー5)をバーディでスタートしながら、14番からの3連続ボギーで後退。「とにかく悔しい初日だった。きょうは自分の持っていることで勝負はできたかなと思う。ただ、気づくことがいくつかあった」と言葉にした。
1Wショットが成功した前半16番、残り220ydの2打目で4UTを振った石川は、フィニッシュでシャフトを左肩に置いたまま球の行方を見送った。「3UT、4UTの精度をもっと上げなきゃいけないと薄々思っていたが、それが“濃くなった”というか。薄々じゃなくなった。どれぐらい高めていけばいいのか、どこがゴールなのかというところが、すごい今週ではっきり見えた」。ボールは右のバンカーへ。世界との差を再認識したシーンのひとつだった。
決勝ラウンド進出が絶望的になった終わり際の衝撃シーンも忘れられない。最終9番は194ydのパー3、同組のフランチェスコ・モリナリ(イタリア)がホールインワンで予選通過を決め、もう一人のセルヒオ・ガルシア(スペイン)はピンそば3mにピタリ。対して石川の球はグリーンの手前半分に着弾し、花道に転がった。
「僕も2人と同じところを狙ってるんですけど、狙ったところに3yd届いてない。185ydぐらいのショットでの3yd、190ydからの3ydヤードの差をきょうは結構感じた。やっぱり日本でやる時から、クセ付けていかなきゃいけない。自分にとっては辛くもあり、悲しいぐらいはっきりと出たなっていう感じがした」
500yd超のパー4が3つ設定されたパインハーストNo.2。2打目で長いクラブを持たされるシーンは、今の主戦場の日本では数少ないのが現状ではある。
次週「ジャパンプレーヤーズチャンピオンシップ by サトウ食品」(栃木・西那須野CC)から国内ツアーの戦いを再開。「自分の基準がしっかり見えてないと、どこのコースに行っても結局は勝負にならない。そこをつくる作業が重要になる。コツコツ続けて、次にどんなものが見えるかというのは正直、すごく楽しみ」。メジャーの景色を頭に刻み、自らにいっそう高いハードルを設けていく。(ノースカロライナ州パインハースト/桂川洋一)