松山英樹は10年前のダボも忘れない フィールドベストで首位と3差接近
◇メジャー第3戦◇全米オープン 2日目(14日)◇パインハーストリゾート&CC パインハースト No.2(ノースカロライナ州)◇7548ヤード(パー70)
松山英樹の記憶には一昔前のシーンが鮮明に残っていた。折り返し直後の後半1番、フェアウェイからの2打目はグリーンの右奥にこぼれた。「あそこに行くとは思っていなかった。前回、出た時はあそこからダブルボギーを打っていた」。同じパインハーストで行われた2014年大会、最終日のスタートホールのことだ。
ウェッジで、パターでのアプローチを失敗したあの時から10年。砲台グリーンに向けたウェッジショットはこの日、スロープを伝ってピンの反対側3mでなんとか止まった。週末への流れを左右しかねない場面。パーパットをねじ込んで歓声を呼んだ。
さらに、14年最終日はボギーにしていた2番もグリーン右手前のバンカーから寄せた。「(1番を)パーで行けたのはすごくうれしかった。2番もね、良いパーを取れたのでよかった」と前半インでの 1バーディをキープした。
要所を締め、チャージに繋げる。メジャー2勝目をかけて戦う選手の強さ。3番で3mのチャンスを生かすと、4番は6mを沈めた。「良いショット、良いパットが打てたと思う」。18ホールのうち最もやさしい5番(パー5)を取りこぼすわけにはいかない。残り112ydの3打目をピン手前3mにつけて3連続バーディ。「ティショットを(右に)ミスしながら、しっかりフェアウェイにレイアップできて、チャンスに絡めることができた」
美しいフェードボールでギャラリースタンドをわかせた6番(パー3)以降も難しいピンを攻め立て、貫禄の4バーディで当地の自己ベスト「66」をマーク。「あまり良くない」というショットをショートゲームでカバーし、2オーバー50位から2アンダー8位に浮上した。
12年連続12回目の出場、11回目の決勝ラウンド進出を決めた。初日同様、8ホールでパーオンに失敗したからこそガマンが光る。日中35℃近い気温も「(自宅のある)フロリダの方が暑いんで」と意に介さない。
全米オープンで、ボギーなしのラウンドは「65」で回り4位に入った22年大会最終日以来。「毎回、本当にタフなコンディションでテストされている感じ。きょうは良いプレーができた。ボギーフリーで回れたのはすごくうれしい」と自賛した。「週末に向けて、このまま続けていけるようにしたい」。首位と3打差で、決勝ラウンドだ。(ノースカロライナ州パインハースト/桂川洋一)