「18ホール回れてよかった」松山英樹は“出場危機”からアンダー発進
◇メジャー第2戦◇全米プロゴルフ選手権 初日(16日)◇バルハラGC(ケンタッキー州)◇7609yd(パー71)
前週の「ウェルズファーゴ選手権」を腰から背中にかけての痛みから直前で欠場した松山英樹は、3バーディ、1ダブルボギーの「70」でまとめ、1アンダーとまずまずの滑り出しを見せた。
練習日に見せていた背中をさする仕草はなく、痛みで顔をしかめるシーンもなかった。一緒に回るビクトル・ホブラン(ノルウェー)と談笑するなど余裕のある表情も見せていたが、松山は「(プレーできるか)振ってみないと分からなかった」とスタート前の状態を説明した。
「スタートしてからは大丈夫でした」と同伴競技者のホブランやキャメロン・スミス(オーストラリア)もおそらく松山が体を痛めていることに気づかないほど、安定したプレーをみせていた。前半10、11番とバーディチャンスを作ってパー。続く12番で7mのバーディパットを沈めた。
13番は「ライが良かった」と左足下がりのラフから、池に囲まれたグリーンの右ピンをデッドに攻めるスーパーショットでバーディ。大勢のギャラリーを沸かせた。折り返し後半3番(パー3)でも、194ydを40㎝弱につけるアイアンショットをみせ、3つ目のバーディ。この時点で4位タイまで順位を上げ、上位に名を連ねた。
出場が危ぶまれた状態から一転してこのスコア。いったい痛みはどこへ行ってしまったのか。前日までの状況を考えると、順調すぎるゴルフだったが、5番に落とし穴があった。ティショットを左バンカーに入れ、そこからラフ、奥のカラーと渡り歩き、なんとか4オン。下り1.5mのパットが入らずダブルボギーを叩いた。後半は納得のいかない球を打って大きくうなだれるシーンもあり、いつもの“松山らしさ”も戻ってきていた。
ホールアウト後は、「どういう感じになるかわからなかったので、18ホールできたのは良かったかなと思います」と安どの表情を見せた。しかしそれも一瞬で、スコアについて「どうですかね、(良かったかどうか)分からないですね」と不満げ。上位が伸びているだけに納得がいっていない様子だった。痛みを気にせずプレーができて、ようやく勝負師の顔が戻ってきたか。
インタビューを終えると足早に練習場へ直行した。長く打っていなかったので早く感覚を取り戻したい――練習場に向かっていく松山の背中からそんな声が聞こえてきた。(ケンタッキー州ルイビル/服部謙二郎)