マスターズ前週最終日は最終組の1つ前 松山英樹はまたまたチップイン披露
◇米国男子◇バレロテキサスオープン 3日目(6日)◇TPCサンアントニオ オークスコース(テキサス州)◇7438yd(パー72)
第1ラウンドを終えた段階では80位、予選ラウンドは終盤に薄氷を踏む形でクリアした。34位で入った週末は、次週の大一番を見据えた調整機会になりそうかと思いきや、松山英樹は最終日を前に4位に急浮上した。
平日の晴天からは一転して、ムービングデーの朝は小雨混じりで気温も10℃台にぐっと下がった。耐える展開が予想された中、松山は開始1番で 1W、8Iでピン左1.5mのチャンスを作りバーディ発進。「きのうの練習で『こうかな』というのがあった。1番でティショット、セカンドがうまくいって、安定はしそうだった」と早いうちに手応えが芽生えたという。
中盤以降の爆発を呼んだのは、ピンチを立て続けにしのいだ直後の場面。パーオンに失敗した3番(パー3)ではバンカーから60度のウェッジで、4番でもバンカーから60度、5番はグリーン奥から52度で土手にクッションを入れてピンそばに寄せ、パーを拾い続けた。「あそこでボギーを1つも打たずに行けたのは大きかった」と難所を乗り越え、8番(パー5)では左サイドの林から4Iで低いドローボールで脱出してバーディを奪った。
おととい、きのうに続いて、チップインをまた披露。3つ伸ばして迎えた後半14番(パー5)、3Wでの2打目をグリーン左奥の林に突っ込んだ後、3打目は低く打ち出してグリーンエッジまで運ぶのが精一杯。ガッカリムードのまま次のアプローチを60度でフワリと浮かせたかと思うと、ラインを伝ってカップに滑り込んだ。
連日のハイライトシーンも冷静に振り返る。「ああいうのが入るのはたまたま。それよりも17番、13番のアプローチ(いずれも花道から“寄せワン”)の方が入りそうな雰囲気はある。それが全然、近くもないし、(カップに)かすってもいない。ちょっともったいない」と自分に求めるレベルが高くある。17番から2連続バーディフィニッシュで、この日のフィールドベストスコアに並ぶ6バーディ「66」をマークした。
通算7アンダーは独走態勢を築くアクシェイ・バティアと8打差。カンタンに逆転できる数字ではない。「状態を上げることだけが大事だと思う。後半に入って勝負をかけられるところにいたら、うれしいですけどね」。次週はいよいよメジャー初戦「マスターズ」(ジョージア州オーガスタナショナルGC)について、「見据えてやりたいのはありますけど。そういうことは考えずに、目の前の一打をしっかり打っていければ」と言った。最終日は最終組の1つ前の組でティオフ。オーガスタに向かう最後のラウンドで、緊張感を味わうことにはきっと意味がある。(テキサス州サンアントニオ/桂川洋一)