「みんな巨人…」早大生アマ中野麟太朗がPGAツアー初出場 松山英樹の“オーラ”に圧倒
◇米国男子◇ソニーオープンinハワイ 事前(9日)◇ワイアラエCC(ハワイ州)◇7044yd(パー70)
身長184㎝、体重84㎏の体格を誇るアマチュア中野麟太朗(早大2年)は、これまでツアーに出場しても“フィジカル”で圧倒されることはまずなかった。しかし、最高峰の舞台は軽く想像を超えてくる。「みんなデカいです。日本にいた頃、こんなに自分が『小さい』と思ったことはなかった。中に入ってみたら、みんな巨人、みたいな」。間近で見て、身体の厚みに驚く。
「ソニーオープン・チャレンジ」として冠スポンサーのソニーグループ株式会社が保有する選手招待枠の一部が日本ゴルフ協会(JGA)にも提供され、うれしいPGAツアー初出場。「日本ではみんなから『球が高いね』って言われるけれど、それよりも高い球を打ってくる」。練習場で目を見開き、コースに出て1ホールだけ一緒に回ることになった海外選手も衝撃だった。「軽く振っているのに飛ぶ。200ydくらいあるセカンドもちゃんと乗せて、そのバーディパットも決めて、『じゃあね』って…」。カッコよく去っていく背中にしびれた。
2022年、松山英樹の優勝はテレビで見ていた。「そういえば、松山さんはすごいフィニッシュをとっていた」。18番(パー5)のティイングエリアに立った時、2年前の最終日の光景がよみがえった。チャンピオンが正規の18番で見せた、左サイドの高い木を越える渾身のドローボール。なぜ、あの打ち方が必要だったのか―。肌で感じられる幸せをかみしめる。
練習ラウンド中、前の組をプレーしていた松山に初めてあいさつした。「オーラっていうんですかね、すごくて…」。コースを下調べしながら、PGAツアー11年目を迎えた大先輩の一挙手一投足が気になる。「それだけの時間を過ごしている理由が、遠目からでも分かりました」
18ホールを終えると食事を挟み、クラブ5本だけ持って再びインコースへ飛び出した。1日だけで1.5ラウンドの調整。「いつもはしないですよ」と笑いながら、「初めてなのでたくさん回りたいなって。改めてティショットの方向性の確認と、グリーン周りが特殊で日本ではあまり見ない芝質だったので」。日が傾くまで、たっぷりコースに滞在した。
「自分はまだまだですけど、それでも通用する場所はあると思うので、その見極めをちゃんとして、できることを精いっぱいやる。一日一日が財産になりますし、4日間プレーしたい。“爪痕”を残して帰れるように」。謙虚さと冷静さを感じさせる意気込みを口にした。(ハワイ州ホノルル/亀山泰宏)