「やっぱりステーキが好き」大西魁斗はチキンと熟練選手が多い下部で修行中
◇米国男子◇3Mオープン 3日目(29日)◇TPCツインシティーズ(ミネソタ州)◇7431yd(パー71)
「PGAツアーのごはん、すごくおいしい」。悪天候でサスペンデッドになった初日、大西魁斗が午後7時過ぎにクラブハウスに戻ると選手用のディナーが用意されていた。憧れの舞台は、やっぱり食事も一流だ。
今週は月曜予選会で上位4人に入って出場権をつかんだが、今季は米下部コーンフェリーツアーが主戦場。“修行”の日々を過ごしている。まだ慣れない転戦生活のなか会場で提供される食事はありがたい。それでも下部では品数が少なかったり、チキンの頻度が多かったり…「ちょっと、きょうは外で食べようかな」と思う試合も時々ある。
「コーンフェリーで辛い思いをたくさんしてきた。いろんな思いが、ありますけど」と濁した言葉は、なにも食事を指しているわけではない。PGAツアー参戦を目標に挑んだ下部ツアーで、思った以上に結果を残せない日々にフラストレーションはたまるばかりだ。
ここまで17試合に参戦したが、トップ10が1回、予選落ちは10試合。下部ポイントランクは現在92位で、来季PGAツアーに昇格できるトップ30にはまだ遠い。「上の世代のかたが結構勝っている」と、意外にも30代以上の中堅からベテラン層が厚いのも侮れない。「ボクの世代はまだまだです」。ポイントランクトップ10には30歳以上の選手が4人もいた。
自分の武器が通用しないことも何より悔しい。「PGAツアーに比べたらそこまでコースが難しくない。そうなるとパッティング勝負なのに、自分が負けていると思うと」。昨年の国内ツアーでは平均パット「1.7107」で4位に立った。「悪いゴルフをしていないのに、なにかがダメでかみ合わない」と結果を残せず、ランクアップを目指して4月末から休みなしの連戦を組んでいる。
「本当は3試合出て1週休んで…としたいけど、全然そんな位置じゃないので」と焦る気持ちとの戦うなか、今週はPGAツアーで自身初の予選通過を決めた。今季4戦目のPGAツアーは、コースセッティングや選手層の厚さ、会場の盛り上がりや、食事ひとつとっても胸が躍る。
「2日間はボーナスだと思って、どれだけ上に行けるか試したい」と臨んだ3日目は、前半「39」と苦戦しながら後半で3つ伸ばしてパープレーまで引き戻した。「後半は良くなったけど、何がよかったのかまだ分からない」とクラブハウスで食事を平らげた後、人の少ない午後4時過ぎの練習場へ。試合後の練習に割く時間は日本にいる時よりもずっと増えた。「やっぱり、ボクはステーキが好き」と目標にする舞台はここにある。「あしたは楽しんで、最後まで諦めずに行けたら」と最終日は半年間の成果を出し切りたい。(ミネソタ州ブレイン/谷口愛純)