松山英樹はビッグスコアにも“ほぼゼロ点” 「ショックを受けた」一打とは
◇米国男子◇トラベラーズ選手権 2日目(23日)◇TPCリバーハイランド(コネチカット州)◇6852yd(パー70)
ここしばらくのうっ憤を晴らすかのように、松山英樹は久しぶりにスカッとするゴルフを見せた。1アンダー68位と予選通過の圏外から、6バーディ、ノーボギーの「64」でフィニッシュ。首位と8打差の通算7アンダー22位タイと、上位を狙える位置で週末を迎えることになった。
「予選を通るためには大きかった」という出だし1番の2打目を30cmに寄せるバーディ発進で、詰めかけた多くのギャラリーを沸かせる。続く2番でも1m弱につけて連続バーディ。6番パー5は取れなかったが、7番で15mのロングパットを沈めて3つ目を奪った。
136ydの11番(パー3)では、ピンそば1.5mにつけるスーパーショットでバーディ。13番(パー5)も3打目を2mにつけて伸ばすと、15番の短いパー4もティショットをグリーン周りまで運び、2打目を1.5mにつけるチップショットでバーディを奪う。最終18番は3mのパーパットを残したが、真ん中から決めてパーセーブ。危なげのない“ボギーフリー”のゴルフを見せた。
久しぶりに気持ちのいいコメントが聞こえるかと思いきや、松山の第一声は「(ナイスプレーへの問いかけに)そうでもないですけどね。スコアは悪くないですけど…」と何とも歯切れの悪い答え。本人の中で、今日のラウンドは満足のできる内容ではなかったようだ。
「周りから見れば悪くはないのかもしれないですが、打っている本人からしたらほぼ“ゼロ点”という内容がずっと続いています。飛ばなくなっているという部分もありますが、自分の求めているところから差し引いていくと、やはりゼロ点になる。今日はいいショットが一回もなかった」と、半ば自分に言い聞かせているようだった。
特に松山が「ショックを受けました」と話すのが14番の2打目。フェアウェイ右サイドから左サイドのピンを狙ったボールは、狙いよりもショートしてグリーンの右手前に辛くも乗った。「(飛距離が)戻ってきているかなと思ったらアイアンで20ydもショートして…。正直、疲れますよ」と、そのシーンを回想してうなだれた。
パットに関しても納得からは遠く、「(15mを沈めた7番は)たまたまです。強く打ち過ぎたのがちょうど良かったり、弱いなというのがちょうど良かったり。いい感じじゃないです」と悩みはつきないようだ。
「まあ、60台前半が出せそうな雰囲気は全くないので、それがいつでも出せるような雰囲気になりたい。パターだけでも、ショートゲームだけでもいいので、ひとつでもいいものがあれば希望が持てるんですがね」
「64」を出した選手とは思えないコメントだが、それでもしっかり予選を通って上位を狙える位置で週末を迎える。メジャーチャンピオンとしての自負もあるだろう。「いい感じじゃないですけど、結果予選を通れたので良かった。明日も、こんな感じで急に良くなるとは思わないので、のらりくらりやりたいです」。残り2日間で、内容にも納得できるプレーのきっかけをつかみたい。(コネチカット州ハートフォード/服部謙二郎)