「難しいほど僕に有利」シェフラーがジャック&タイガーの“仲間入り”
◇米国男子◇ザ・プレーヤーズ選手権 最終日(12日)◇TPCソーグラス ザ・プレーヤーズ・スタジアムコース(フロリダ州)◇7275yd(パー72)
林から出した後の3打目をグリーンにのせ、ようやく緊張感から解放された。「本当に疲れた、とだけ(キャディに)言ったんだ。勝てるのが分かって、声援でいっぱいの18番を歩くのは本当にうれしいこと」。後続に5打のリードをつけていても、体は重圧に満ち満ちていた。そして、5mのパーパットも沈めてしまうから、誰も文句のつけようがない。スコッティ・シェフラーがPGAツアーの“顔”として旗艦大会を制した。
前半3番(パー3)でボギーを先行させ、前日までに築いた2打のリードを早々に失ったが、「きょうはだんだん風が強くなると分かっていた」と動じなかった。ティレル・ハットン(イングランド)や松山英樹ら後続からリーダーボードの上部に飛び出す選手がいたのも想定済み。リードを広げた8番(パー3)のチップインバーディも、「スマートにプレーした良い例。グリーンエッジに落とすことだけに集中した」と、速いグリーンを警戒した結果、風に押されてカップインを呼び込んだ。
ドライビングディスタンス(305.9yd)、パーオン率(75%、54/72)でいずれも1位とショットから冴え、難コースで4日間連続の60台で通算17アンダー。「コンディションがタフならば僕に少し有利だと思う。物ごとが難しいほど、僕は集中して、他の選手のことも頭になく、ゴルフコースを攻略しようと集中する」と自信を口にする。
「WMフェニックスオープン」以来のシーズン2勝目、ツアー通算6勝目で、世界ランキング1位の座も、1カ月も経たないうちにジョン・ラーム(スペイン)から奪い返した。
ロープの外には頼もしい応援もあった。歩行器を使いながらコースを歩いた、祖母のメアリーさんは88歳。「おばあちゃんがたくさん歩いてくれたのが本当に印象的だった。なんて言えばいいか…。去年はおじいちゃんが亡くなって、叔父も重病になった。一緒に喜べることがうれしい」
昨年の「マスターズ」に続き、「プレーヤーズ」も制した。2つのタイトルを獲得したのは史上9人目だが、両大会のディフェンディングチャンピオンと同時期に呼ばれたのは、これまで他にジャック・ニクラスとタイガー・ウッズだけ。「彼らにはもっとたくさんのタイトルがあるけれど、タイガーとジャックと並べて論じられるのは特別なことだ」と胸を張った。(フロリダ州ポンテベドラビーチ/桂川洋一)