5試合で3勝 シェフラーは「特別な場所」で世界1位到達
◇世界選手権シリーズ◇WGCデルテクノロジーズ・マッチプレー 最終日(27日)◇オースティンCC(テキサス州)◇7108yd(パー71)
25歳のスコッティ・シェフラーが、27歳のジョン・ラーム(スペイン)を王座から引きずり下ろした。男子ゴルフの世界ランキング1位は昨年7月から約8カ月ぶりに刷新。地元テキサス大出身のホープが、2月のツアー初優勝から瞬く間にトップに上り詰めた。
「ここは特別な場所だ」。シェフラーにとって、オースティンCCは大学時代に何度もプレーしたコース。数年前まではギャラリーとして当地を訪れ、練習場でロリー・マキロイ(北アイルランド)のショットにも心を躍らせていたこともある。プロになって出場した昨年、いきなり準優勝すると、今年もグループステージを勝ち上がり、この日午前の準決勝では元世界ランク1位のダスティン・ジョンソンに3&1。大学時代のチームメートの声援も浴びて、決勝もケビン・キズナーに対し終始優勢にマッチを進めた。
2アップで迎えた5番、相手が1.2mのバーディパットを外して分けると、シェフラーは直後6番(パー5)で3つ目のバーディを決めて3アップ。後半12番(パー5)ではバンカーからの4打目を直接沈めて差を詰めさせなかった。結局、一度もホールを譲ることなく3ホールを残してフィニッシュ。涙で声を震わせた。
1年前の本大会終了後、22位だった世界ランクは昨年末に12位に上昇。今年2月「WMフェニックスオープン」で待望の初優勝、さらに3週後「アーノルド・パーマー招待」で2勝目を挙げた。ランク5位で迎えた今週を終え、史上6人目の若さ(25歳9カ月6日)で1位に到達。出場5試合で3勝という、本人もびっくりの破竹の勢いに「もう感情をどう言い表せばいいか分からない」と笑った。
「試合中、世界ランクのことは最後のグリーンまで考えなかった」と繰り返し言う。一番近くにいるメレディス夫人もそうだった。「(この状況を)一緒に経験してほしいと思って、きのう『優勝したら世界一だ』と話したんだけど、彼女はまったく知らなかったし、僕が世界何位であろうが気にしない。彼女は僕がどれだけ頑張ってきたか見てきたし、何度も失敗して、成功のために悲しんだときも見てきたから」
2週後に迫った「マスターズ」までにシーズン3勝をマークしたのは、2017年のダスティン・ジョンソンとジャスティン・トーマス以来、史上3人目。メジャータイトルはもちろん次のターゲットになる。(テキサス州オースティン/桂川洋一)