2022年 ザ・プレーヤーズ選手権

強気な新王者の目に涙 キャメロン・スミスは2年ぶりに家族と再会

2022/03/15 11:02
再会した家族と優勝を分かち合ったキャメロン・スミス(Ben Jared/PGA TOUR via Getty Images)

◇米国男子◇ザ・プレーヤーズ選手権 最終日(14日)◇TPCソーグラス(フロリダ州)◇7256yd(パー72)

「あそこを狙ったと言えばウソになる」。キャメロン・スミス(オーストラリア)は苦笑交じりにウィニングショットの真相を告白した。135yd設定の名物ホール17番(パー3)。大きめの9Iで距離感を合わせ、わずか3ydというピンの右側、狭いエリアを攻め込んで1.3mに絡めた。

「練習場ですごく良かったから、フェアウェイにさえ運べば勝てる気がした」というアイアンショット、72ホールでフィールド1位の「+11.521」と驚異的なスコア貢献度をたたき出したグリーン上がかみ合い、バーディを量産した。出だしからの4連続で一気にトップに立ち、3連続ボギーの後には2度目の4連続。17番が10個目だった。「3mほど左を狙ったんだけど、思ったより風に当たらなかったんだ。ショット自体は、本当に良いショットだった。一瞬心臓が止まりそうになったけど、クラブ選択は正しかったと思う。アグレッシブでいたかったし、バーディが欲しかったから」

浮島の名物ホール17番でショットを放つキャメロン・スミス(Logan Bowles/PGA TOUR via Getty Images)

リードを広げて迎えた最終18番も攻撃的なスタイルを貫いた。ここまで3ラウンドで2回も池に入れている鬼門。「(同じ左ドッグレッグの)オーガスタの13番もそうだけど、僕はドライバーで左から右に曲げるのが好きなんだ」。持ち球との相性の悪さを自覚しながら、当たり前のように1Wを握った。右サイドの松の葉の上まで転がり、フェアウェイに出そうとしたセカンドは左サイドの池まで転がった。

場内のスクリーンでは、同じオーストラリアのアダム・スコットがやはり18番で池に入れながら2004年大会を制したシーンが流れていたが「見てなかったよ。ラウンド後に教えてもらったけど、(スコットが池に入れたことも)知らなかったし」。ドロップした後の第4打、残り57ydを1mに絡めて最終ラウンド13ホール目の1パット。スーパーボギーで逃げ切った。

自宅通勤で戦った“第5のメジャー”を制覇し、世界ランキングは自己最高6位まで上がった。終始ひょうひょうとしていた28歳が感情をのぞかせたのは、応援に訪れていた家族について話が及んだとき。コロナ禍でひときわ厳しい入国制限が続いていたオーストラリアに住む母シャロンさん、妹メラニーさんとは2年以上も会えていなかったという。「彼女たちに会えたこと、彼女たちのために勝てたことがうれしい」。月曜日まで戦い抜いた新王者は最後に目を潤ませた。(フロリダ州ポンテベドラビーチ/亀山泰宏)

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