ルイ・ヴィトン、オフホワイト…ケプカ唯一無二のシューズコレクション
プロスポーツとエンターテイメントの世界では、誰もがスニーカーの虜になっているようだ。ヒップホップの大御所、DJキャレドが所有する総額800万ドル(約9億2400万円)のスニーカー部屋から、バスケットボールNBA王者のP.J.タッカーによる激レアコレクションに至るまで、誰もが自慢の一品でヘッドラインを独占しているのである。
では、ゴルフのPGAツアーから、このスニーカーコミュニティのエリートたちに“靴対靴”の勝負を挑める者は出てこないものだろうか。どうやら、ブルックス・ケプカにはその資格があるようだ。
流行の最先端
ここ数年にわたり、ケプカはもっともな理由により、スニーカーコミュニティに波風を立ててきた。メジャー4勝の彼はコース内外で、かなり限られた人間しか履くことのできないオーダーメイドのシューズを履いているところを目撃されてきた。
今週、ホームタウンでの開催となった「ホンダクラシック」でプレーするのに合わせ、これまでケプカが履いてきたスニーカーのトップ5を振り返ってみよう。
OFF-WHITE × NIKE AIR MAX 90
今は亡き偉大なヴァージル・アブロー氏にできないことなどなかった。この10年でもっとも影響力のあったクリエイターでありデザイナーの一人だったアブロー氏は、全てにおいて文化を超越し、融合させた。
彼のファッションブランドであるオフホワイトから、メルセデスとのコラボレーションに至るまで、彼は触れた全ての物を金色に輝かせた。ナイキは2017年にオフホワイトとのコラボレーションで“The 10”を発表した。
こうしたコレクションは、ナイキ史上初の試みであり、“The 10”は現在に至るまで最も入手困難な靴となっており、ナイキで最も成功したコレクションの一つとなった。
ケプカがオフホワイト×ナイキエアーマックス90を手渡されるやいなや、そこにはファッション、ゴルフ、そしてストリートウェアの文化的な垣根を越えた瞬間が誕生した。
そして、「ツアー選手権」で彼がこの靴についてレポーターに質問された際の受け答えは、火に油を注ぐかのようにインターネット上を沸かせた。「これはファッションなんだぜ」。ケプカは雄弁にこう答えたのだった。
Brooks Knows × Nike Tour Premiere
“ボー・ノウズ”は、私の知っているナイキによる最初のマーケティングキャンペーンの一つだった。このキャンペーンは、複数のプロスポーツで活躍したアスリートであるボー・ジャクソンが、ゴルフやカーレースなど、色々とこなすことに焦点を当てたものだった。
このキャンペーンのコンセプトは、ナイキのマーケティング部門の副社長であるトム・クラーク氏と、有名広告代理店ワイデン+ケネディのジム・リズウォルド氏の会議から生まれたものだ。
“ボー”という名前で気の利いた文言を練っているなか、クラーク氏は去り際、有名なブルースシンガーであるボー・ディドリーになぞらえ、「ボー、君の知らないディドリー」と口にしたのだが、これが“ボー・ノウズ”キャンペーン誕生のきっかけとなった。
2019年の「BMW選手権」でケプカがジャクソンとペアを組んだ時のこと。プロスポーツ界のマルチタレントへのオマージュとして、ケプカは独自バージョンの“ボー・ノウズ”を身につけてプレーした。
これは世界に1点しかないカスタム版のナイキツアープレミアで、ジャクソンの背番号である「16」と「34」があしらわれ、色はジャクソンがかつて在籍したレイダースのカラーリングになっていた。しかしながら、このユニークな1足の前部には、“ブルックス・ノウズ”と書かれていた。
ケプカは唯一無二のシューズしか履かないのである。
Mamba Mentality × Nike Air Zoom Infinity Tour
“マンバ・メンタリティ”というコービー・ブライアントが精いっぱい物事に取り組む姿勢は、単なるモットーを越え、あらゆる物を取り込む哲学へと昇華した。この言葉は、全世代のアスリートやクリエイターたちをインスパイアした。
ケプカもそのうちの一人であり、彼は2018年に手首のけがから復帰するにあたり、ブライアントのInstagram投稿をインスピレーション源としたのである。
ゆえに2020年「ジェネシス招待」が開催されるにあたり、彼はGOAT(Greatest Of All Time=史上最高)に敬意を表することにした。そのやり方は至ってシンプルなもので、彼は白、黄、紫の3色に塗られ、側面とソールに“MAMBA”のロゴの入ったナイキインフィニティツアーを履いてプレーしたのである。
これは間違いなく、ケプカの靴に関する最高の瞬間の一つだった。
Nike Golf Tour Premiere - Safari
ニューヨーク州のベスページ州立公園ブラックコースの有名な看板は、これから極度に難しいゴルフコースに足を踏み入れようとするゴルファーに警告を与えている。ナイキはその看板をインスピレーションを得て、2019年「全米プロゴルフ選手権」で選手専用モデルのツアープレミアシューズを作り出した。
目を引くサファリ柄は、有名デザイナーのテインカー・ハットフィールド氏が、コンクリートジャングルであるニューヨークへの敬意から着想を得た物である。その週末に「全米プロゴルフ選手権」を制覇したケプカにとって、忘れ難いスニーカーとなった。
Louis Vuitton Nike Air Force 1 Friends & Family
スニーカー鑑定家であれば、誰であれ一度は「どうすれば“あのリスト”に載ることができるのだろうか」との思いを巡らすことだろう。スニーカー界で誰もが切望して止まないのが、ナイキのフレンズ&ファミリーリスト入りだ。
ナイキに知り合いがいる、あるいは自分がレブロン・ジェームズでない限り、このリストは謎に包まれているが、中にはケプカのような例外もいる。最近、彼はヴァージル・アブローのデザインした超限定モデルのルイ・ヴィトン ナイキエアフォース1フレンズ&ファミリーをプレゼントされた。
これはルイ・ヴィトン、ヴァージル・アブロー、そしてナイキという、文化におけるヘビー級のコラボレーションである。ファッションの頂点と言っても過言ではないかもしれない。
この靴の価格は不明だが、最近、サザビーズのオークションでこれと似た1組がなんと35万2000ドル(約4000万円)で落札された。ケプカはコネを持っていると見て間違いないだろう。
(協力/GolfWRX、PGATOUR.com)