「ぜんぶ」悪い 松山英樹は悔しさ胸にフロリダシリーズへ
◇米国男子◇ジェネシス招待 最終日(20日)◇リビエラCC(カリフォルニア州)◇7322yd(パー71)
少し膨らんだ期待が途端にしぼむ。ちぐはぐな展開が4日間続いた。「次に向けて頑張ります、また」。39位のスコア、通算4アンダーは優勝したホアキン・ニーマン(チリ)と実に15打差。リビエラCCのクラブハウスに続く坂道を上る足取りは、予選落ちした前年大会と同じように重かった。
週末2日は優勝争いから遠く、いずれもインコースからのスタートになった。かつてジャック・ニクラスが「世界最高のパー4のひとつ」と絶賛した開始10番(307yd)で2日続けてバーディ。この日はバンカー越えのアプローチで強烈なスピンをかけて1mに寄せた。
続く11番(パー5)も連日のバーディとしたが、12番でフェアウェイからの2打目を右サイドのバンカーに入れてボギー。2つ目をたたいた14番(パー3)もアイアンでの第1打が手前のバンカーを越えなかった。
予選ラウンドで暴れたティショットは復調傾向。フェアウェイキープの成功数だけで言えば、初日の4回から最終日は10回に増えた。それでいて、2打目以降で流れに乗れず4バーディ、3ボギーの「70」と伸ばしきれない。「悪いところ? ぜんぶです」とため息が止まらなかった。
後半6番(パー3)ではグリーン上でウェッジを使った前日に続き、アプローチで沸かせた。左サイドのロープ際のラフからの2打目。ピンよりも5yd以上、左に打ち出し、奥からの下り傾斜を使って大きなスライスラインに乗せた。ボールはカップの脇通り抜け、ピンそば90㎝に。
再び歓声が上がったが、「あれでしか寄らないんで」と事もなげに言った松山の顔は硬直したまま。裏を返せば、「フォア―!」とギャラリーに注意を促すほどのティショットのミスがあったからこそ、高度なテクニックを披露せざるを得なかったともいえる。
西海岸シリーズはショット、パットともに理想に遠かった。それでもなお、フェデックスカップレースではトップにいる。オフにする次週25日に30歳になる。フロリダシリーズの次戦「アーノルド・パーマー招待」(3月3日~/ベイヒルクラブ&ロッジ)に向けて復調を図りたい。
重たい空気のなか、終盤8番では2打目をピンそば1mにつけてバーディ、9番はグリーン奥からのチップを寄せてパーで締めた。疲れ切った様子でも、のぞかせた小さな笑みが望みではある。(カリフォルニア州パシフィックパリセーズ/桂川洋一)