『イカゲーム』もうすぐ見終わる ファウラー復活へ勝負の最終日

◇米国男子◇ザ・CJカップ 3日目（16日）◇サミットクラブ（ネバダ州）◇7431yd（パー72）

最終日を1ケタ順位で迎えるのは1年2カ月ぶりになる。「ここ数年、このポジションにはいられなかった。バックナインでリードしていて、感情がよみがえったのを感じた。自分が正しいプロセスを踏んで、やるべきことをやれていると確認できた」。直近2シーズンで優勝がないリッキー・ファウラーが、3日目を終えて21アンダーの単独首位に立った。

2019年2月「ウェイストマネジメント フェニックスオープン」で挙げたツアー通算5勝目を最後に、タイトルから見放されている。

昨季は極度の不振で2021年4月の「マスターズ」、6月「全米オープン」には出場すらかなわなった（2020年大会は両メジャー出場）。フェデックスカップポイントレースで134位に終わり、プロ転向翌年の2010年以降、初めてプレーオフシリーズに進めなかった。16年に4位だった世界ランキングは現在128位。今大会も主催者推薦での出場だ。

コーチのジョン・ティレリー氏と時間をかけてスイングを修復し、前週の「シュライナーズチルドレンズオープン」では予選落ちしたが、同じラスベガスで今週突如、復活の兆しを見せた。初日、2日目「66」。久々の上位争いにも、気持ちでは負けていない。

「（ラウンド中に）リーダーボードを見ないと言う選手もいれば、見る選手もいる。でも僕はいつだってボードを探してきた」。タイトルを争う緊張感が好きでたまらない。「『攻め続けろ、やり続けろ、（失敗しても）何も変わらない』って、自分に言い続けたんだ」。首位に6打差12位から8バーディ「63」で回り、2位のロリー・マキロイ（北アイルランド）に2打差をつけた。

2年8カ月ぶり、3シーズンぶりの優勝を懸けた最終日に心情は揺るがないだろうか？ 「昔と一緒だよ」と笑った。

試合会場近くのコンドミニアムでトレーナーのケアを受け、友人のシェフが食事を作ってくれる。一緒に滞在しているジャスティン・トーマスと、コースの外でゴルフのことを話すのは少しだけ。ネットフリックスで流行中の韓国ドラマ『イカゲーム』を「もうすぐ見終わる」ところだ。勝つか、負けるか。極限の緊張感を存分に楽しむ。（ネバダ州ラスベガス／桂川洋一）