あのタイガーに焦りが生じていた!「タイガー神話」ついに崩壊!
第91回全米プロ選手権最終日、初日からリーダーをキープしているタイガー・ウッズが2打のリードで最終日をスタート。開催地のミネソタ州ミネアポリス郊外チャスカ市は西南西の風が秒速8メートルから10メートル吹く午後となり気温は摂氏23度。午前中に雨が降ると心配されたが中断するほどの雨の影響はなくプレーは予定通り行われた。
通算8アンダーからスタートしたタイガーは、最終日2つのバーディに対し5つのボギーを叩いてしまい「75」。3つ落としてしまったタイガーは通算5アンダーで競技を終了。タイガーと同じ最終組でプレーした韓国のY.E.ヤンが最終日に2つスコアを伸ばす「70」として通算8アンダーで逆転、アジア人として初のメジャーチャンピオンに輝いた。
過去メジャー競技14勝でリードを守りきり逃げ切り優勝としているタイガーはトレードマークの赤色シャツ(オレンジ系のストライプ)で登場した。タイガーはスタートホールから2打目をピン右2メートルにつけるショットを放ちバーディチャンスを迎える。しかしこのパットはカップの左を通り過ぎバーディを逃がしてしまう。続く2番でも手前からのバーディトライが僅か右に逸れてバーディが獲れない。グリーンでの僅かな読み違いとスピード感のズレが生じていたタイガー4番のパー3で3パットのボギー、8番では左バンカーからパーを拾えずに今日2つ目のボギーとしてしまい前半はバーディなしの「38」。
通算6アンダーとなったタイガーは前半をイーブンパーで収めたヤンと同じスコア勝負のバックナインへと突入する。10番で5メートルのバーディパットを左に外しバーディを逃がしパーとしたタイガーは11番のパー5でバーディを奪うことに成功。336ヤードのビッグドライブのあと280ヤードの2打目をしっかりとグリーンに乗せて2オン2パットとした。しかし続く12ですぐにボギーを叩いてしまう。ティショットは左のラフ、2打目はグリーンをオーバー。奥からのアプローチは5メートルほどオーバーしてしまい、パーパットが入らずボギー。
初日からずっとリーダーの位置をキープしていたタイガーがトップの座を奪われてしまったのは14番のパー4。301ヤード設定でワンオンも可能なパー4でヤンが2打目をチップインとしてイーグルを奪取(8アンダー)。グリーン右手前からから2打目を放ちバーディとしたタイガーは通算7アンダーとなるがこの時点で追いかける立場に変わる。15番のパー5では2オン狙いの282ヤードのセカンドショットをダフってしまうミスショット。3打目をピン下4メートルに寄せる事に成功したがバーディトライはカップの左を抜けてパー。
続く16番でもパーとなり1打差は変わらず。189ヤード設定となっていた17番では会心のショットを放ちピン一直線にボールは向かって行く。しかし風を読み間違えてしまいボールはグリーンをオーバーして深いラフに沈んでしまう。奥からのアプローチは4メートルショートして寄らず入らずのボギー。リーダーのヤンも同じくボギーを叩いてしまったので状況は変わらず1打差のままで最終ホールを迎える。まずヤンが2打目203ヤード地点からピン傍につけるスーパーショットを放つ。
タイガーが打ったセカンドショットはグリーン左のラフに曲がってしまい、ラストチャンスとなるアプローチはピンの左を強く通り過ぎてしまう。返しのパットも外れてしまい今日5個目のボギーとしたタイガーは3オーバーの「75」。通算5オーバーとしたしまったタイガーは結局逆転優勝したヤンと3打差をつけられて単独2位フィニッシュ。メジャー15勝目は達成できずに終わり2009年度のメジャ-競技は幕を閉じた。ちなみにタイガーにとってメジャー競技2位は6回目となる。
3日目のリードを守りきりメジャー制覇という「タイガー神話」が崩れた。最終日は西南西というこれまでと違う風が吹いた上に、この風が微妙に方向が変わりプレーヤーのクラブ選択、攻め方を悩ませた。タイガーは上空を何回も見上げながら風の方向を確認していたが、ショットを放ったあとキャディのスティーブ・ウイリアムスに語りかけるシーンはその難しさを表していた。特に17番のショットはピンにまっすぐ向かって行った会心のショットだけにグリーンをオーバーしたシーンはアンラッキーだったといえるだろう。これまでタイガーに傾いていた勝負運は今回味方をしてくれなかった。
最終日タイガーと同じ組で回るという重圧の中でスコアを伸ばすことに成功したヤン選手の素晴らしいプレー振りを高く評価しなければいけない。そんな中、タイガーには焦りが生じていた。グリーン上で思うようにパットを沈めることができずにいた。最終日のタイガーの合計パット数は33回。タイガー自身もプレー後のインタビューで「ショットはとても良かったがパッティングが全くダメだった。読み違いもあったし悪いパッティングもしてしまった。14番のパット以外は全く入れることができなかった。チャンスはたくさんあったし、(トーナメントの)主導権も保持していたと思った。」と語った。
2009年はメジャー優勝なしで終わってしまったタイガーだがこれからもFEDEXカップのプレーオフ、プレジデンツカップ、世界ゴルフ選手権HSBC、豪州マスターズ、シェブロンワールドチャレンジなど多くのタイトルを狙ってプレーは続く。来年4月のマスターズまでは少し間が空いてしまうのはファンとしては残念だが2010年はタイガーが大好きと話すペブルビーチでの全米オープンとセントアンドリュースでの全英オープンが待っている。来年こそタイガーの「メジャー年間グランドスラム」達成を期待しながら今年残りのプレー振りを見守っていきたい。
★ラウンドデータ
・スコア:75(38-37)3オーバー
・フェアウェイキープ率:71.42%(14ホール中10ホール)
・パーオン率:66.67%(18ホール中12ホール)
・合計パット数:33パット(3パット1回)
・バーディ:2ホール
・パー:11ホール
・ボギー:5ホール
・パー3:通算3オーバー
・パー4:通算1オーバー
・パー5:通算1アンダー