不安あってもベストスコア 松山英樹にメジャー連勝の夢「悪くない位置」
◇メジャー第4戦◇全米プロゴルフ選手権 2日目(21日)◇キアワアイランドゴルフリゾート・オーシャンコース (サウスカロライナ州)◇7876yd(パー72)
「今週は優勝を狙う…という感じではない」。開幕前に自嘲気味に話していた言葉は、初日を終えた段階では額面通りに受け取れた。一日経過して、真実味が少々なくなったようにも思える。1オーバー41位から出た松山英樹はルイ・ウーストハイゼン(南アフリカ)と同じこの日のベストスコア「68」をマークし、3アンダー4位に急浮上した。
ショットへの不安を抱え込んだ前日は、いつものようにドライビングレンジで打ち込んだ。「きのうの練習は良くならないまま終わった。でも、最後にイライラしながら打ったのが逆に良かったのかなと」。スタートの1番で1Wショットを大きく左に曲げたが、「その後はコースに対してうまく攻められた」と充実感を口にした。
バーディとボギーを1つずつ記録した後、残り126ydの2打目をピンそば1mにつけた6番から2連続バーディ。折り返し直後の10番から再び2連続とした。バックナインは1Wショットがすべてフェアウェイをとらえるなど安定感は抜群。「前半から少しずつ良くなっているのは分かっていた。最後もうまく打てたのでこれをあしたも続けられるようにしたい」と向かい風に打ち込んでいく終盤ホールも揺るがなかった。
4月の「マスターズ」制覇から、前週の「AT&Tバイロン・ネルソン」で1カ月ぶりに実戦復帰し、感覚を取り戻す作業が続く。スイングの基本的な動きを確認しながら、明確な課題もある。「風の中で多くの低い球を打つといった、余計なことをしないようにしている。あしたからは必要になると思うので、そこには不安がある」。大西洋岸のコースでボールの高さや曲げぐあいを操作する高度なテクニックが必要とされると予想。「本当に今の調子では、技の“引き出し”を含めてちょっとキツイ部分がある」と冷静に状態を見極めた。
ただし4日間全て完ぺきな状態でなくても、勝機があることはオーガスタで証明した。終盤15番ではショートサイドに打ち上げるバンカーショットでピンそば1mにつける妙技を披露し「たまたま過ぎる」と笑った。グリーン上でも16番(パー5)、17番(パー3)で約15mのロングパットをきっちり寄せてパーを拾ったことに「余計なストレスがかからず終われたので良かった」と手応えもある。
首位のフィル・ミケルソン、ウーストハイゼンには2打差。「悪くない位置だと思うので、あした頑張りたい」。快挙のストーリーにはすぐに続きがあるかもしれない。(サウスカロライナ州キアワアイランド/桂川洋一)
※編注:松山と並ぶこの日のベストスコアはブルックス・ケプカではなく、ルイ・ウーストハイゼンでした。本文を訂正しました