“寄せ”のスタッツで1位 松山英樹5打差で最終日へ「チャンスある」
◇世界選手権シリーズ◇WGCワークデイ選手権 3日目(27日)◇ザ・コンセッションGC (フロリダ州)◇7474yd(パー72)
ホールアウト後のインタビューを終えるなり、普段通りドライビングレンジへと直行した。左右の前腕を固定する黒いバンドを巻いて、基本に立ち返りすぐにショットの練習。「いまはやるべきことがいっぱいある」と試行錯誤が続く中で、松山英樹は逆転の望みを捨てていない。首位とは5打差の7位で54ホールを終えた。
6アンダー12位からのムービングデーはティショットが安定した反面、チャンスメークに苦しんだ。出だし1番のバーディはグリーン手前のバンカーからカップに沈めたもの。2つスコアを伸ばした後半12番までに実に5回、バンカーショットがあった。
そのうち4回をセーブするところが松山の強さでもある。前日までとは一転して、この日はパットを決めきれなかった。初日「+1.658」、2日目「+1.509」だったストローク・ゲインド・パッティング(パットのスコア貢献度)が「-0.925」に(3日間平均で+2.238/全体15位)。前半7番(パー5)から3ホールで、立て続けに5m以内のバーディチャンスを外した。一方で、グリーン周りからのチッピングによるスコア貢献を示すデータ(ストローク・ゲインド・アラウンド・ザ・グリーン)は3日間「+6.210」で全体1位を誇る。
終盤は上位進出へ再度エンジンがかかった。14番(パー3)、グリーン左ラフからショートサイドのカップにウェッジで決めた。9mのバーディパットが決まった16番で久々に笑顔を見せ、17番(パー5)で2連続バーディ。フェアウェイからの2打目をグリーン右手前のラフに外し、ボギーにした18番を「最後のがなければ…と思いますけど」と吐き出しつつ、6バーディ、2ボギーの「68」をマーク。「ストローク差はありますけど、きょうぐらいのティショットときのうまでのパッティングがあれば追いつけるチャンスもある」と言えた。
2021年に入り、トップ10入りがまだない。前週の「ジェネシス招待」は予選落ちした。確固たるスイングの構築に取り組んでいる今は苦しいようでいて、「やることが決まっているので(気持ちは)楽にはなってきている」と前向きに捉えている。
コリン・モリカワを頭にしたリーダーボードはWGCらしくタレントぞろい。松山の最終日を前にした7位は、昨秋に開幕した今季2番目の順位(全米オープンで4位)。戦えるはずだ。(フロリダ州ブラデントン/桂川洋一)