逆転でWGC2勝目のリード 批判&雑音を打ち消せるか
◇世界選手権シリーズ◇WGCメキシコ選手権 最終日(23日)◇チャプルテペクGC (メキシコ)◇7355yd(パー71)
「バハマでのできごとについてはもう説明した。結局、僕が今やろうとしていることは外で良いプレーをして、試合に勝つことだ」。第1ラウンドを終えた後、パトリック・リードはそう話した。昨冬から周囲が何かと騒がしい。きっかけは12月にバハマで行われた「ヒーローワールドチャレンジ」。ウェイストエリアで素振りをした際、ボールのうしろの砂をバックフェースで削ってライを改善したのがテレビ映像で発覚し、ラウンド後にペナルティを受けたシーンだった。
この行為が意図的だったのではと批判を浴びたリードは以降、悪い意味で話題を引っ張った。直後のオーストラリアでの「プレジデンツカップ」ではキャメロン・スミス(オーストラリア)から「インチキだ」と言われ、アウェーで野次が飛び、暴言を吐いたとされるギャラリーと自身のキャディがその場でケンカをはじめた。年明けのハワイ「セントリートーナメントofチャンピオンズ」ではロープ外から「Cheater(ズルいヤツ)!」の声が飛んだ。
極めつけは今月、ラジオを通じてブルックス・ケプカに「彼は砂のお城を作っていたんだ。僕は3カ月休んでも、クラブが砂を触ったかどうか分かる。ビデオでは明らかに砂を2回削って、ならしている」と批判されたかと思えば、CBCのアナリストからも「今までリードが4回はライを改善したのを見た」とやり玉にあげられた。
リードは「とにかくプレーを良くし続けることしかなかった。どんな雑音もシャットアウトしてね」という。首位と1打差から出た最終日は中盤に抜け出たブライソン・デシャンボーを追い、15番(パー5)からの3連続バーディで逆転。シーズン初勝利は通算8勝目、WGCタイトルは今大会の前身2014年の「キャデラック選手権」以来2つ目となった。
「ロープの中ではやるべきことに集中する。それがゴルフだ」。衆人環視のもと、視線が一層厳しくなる中で勝ち切ったことは事実。そしてメキシコのファンの声援を大きくしたのも事実だった。(メキシコ・メキシコシティ/桂川洋一)