カーの策略?渡邉、鈴木組はペースをつかめず完敗
米国女子ツアーの8カ国・地域代表の対抗戦「ULインターナショナルクラウン」の3日目。渡邉彩香と鈴木愛は、米国代表のクリスティ・カー&レクシー・トンプソン組と対戦したが、序盤からリードを許し4&2で敗北した。
チームメンバーで食事をした前夜、米国対策は練っていたはずだった。野村敏京のキャディを務める米国人のジェイソン・マクディード氏は、米国選抜と欧州選抜の対抗戦「ソルハイムカップ」で欧州チームのキャディ経験もある人物。「向こうはホームのプレッシャーもあるだろうし、こちらが淡々とやっていればチャンスはある」。マクディード氏の助言もあり、鈴木らは静かな戦いを意識していた。
だが、百戦錬磨のカーの仕掛けは早かった。事件が起きたのは3番(パー5)。このホールでトンプソンはティショットをクリークに打ち込んだ。救済(ドロップ)位置は鈴木の球よりもずっと後方になるのだが、この場合の打順は救済位置に関係なく、ハザードに落ちた地点を他の球と比較して、カップからより遠い方が先となる。
そこで先に鈴木が2打目を打ったが、これを見たカーはトンプソンの球は鈴木の球よりも手前(カップから遠く)だったと主張し、オフィシャルもこれを認めて、鈴木は打ち直しを宣告された。
渡邉は言う。「愛ちゃんの方が後ろだねって話していたけど、レフリーが(もう一度)打てって言って…」。鈴木は「なんで打たないかんの?って。笑顔でやっていたけど、内心はだいぶイラッとしました」と、怒りを笑顔の下に隠し通してラウンドを続けた。
序盤からトンプソン、カーの好調なショットに押され、10番を終えて5ダウンと追い込まれた。渡邉は「私はここまでのアウェーは初めてなので、そういうところで力が入ったのもあるかもしれない」と反省を口にした。終盤に2つ奪い返す意地を見せたが、16番(パー5)でトンプソンにイーグルを奪われて決着した。
この3日間の渡邉・鈴木組の通算成績は2分1敗。「まだ勝ってないので、勝って帰りたい」という渡邉の願いは、明日に持ち越されたプレーオフの結果次第。まだ最終のシングルス戦進出のチャンスも残されている。(イリノイ州リバティビル/今岡涼太)