2015年 ホンダLPGA

藍「感じることが大事」 失敗に見せた笑顔の意味

2015/02/28 20:09
パットの復調は一歩ずつ。宮里藍の歩みは続く

米国女子ツアー今季4戦目の「ホンダLPGAタイランド」3日目、宮里藍は3バーディ、3ボギーの「72」。通算2オーバーのスコアは変わらず、順位は51位から50位へとわずかに上がった。

この日、いや、今の宮里を象徴していたのは7番(パー5)でのプレーだ。ティが前に出され、フォローの風も相まって宮里は2オンに成功する。ピンはグリーン奥に切られており、宮里のファーストパットは段の下から約10m。だが、そのファーストパットはグリーンをオーバーして奧のラフまで達し、一度ウェッジに持ち替えてアプローチをしてから、パーセーブ。「笑うしかなかったです」と振り返った。

伏線は5番にあった。このホールのパーパットを外した宮里は「バハマからトライしていたヘッドアップがある」と感じたという。6番でそのことを意識するとストロークが改善した。続く7番では「気持ち良くストロークし過ぎて、スピードを忘れてしまった」ということだ。

昨年、パッティングに苦しんだ宮里は今シーズン開幕からパターを変え、心の整理もつけたことで、パットのフィーリングは確実に戻りつつある。「しっかり狙えるというフィーリングになっていること自体、すごく早い段階でここまで来られている(ことの証明)と思う。(昨年末と比べると)天国と地獄です」。

好調時は「ストロークも、リズムも、スピードも考えない。感性だけでプレーができた」が、今は無意識でできていたことを、意識的に再現している。「今はその段階を踏んでいる最中。自分の中で、ストロークがしっくりできたか、できなかったかが問題なので、今はいいやと割り切れる」。7番で見せた笑みも、その割り切りがあったからだ。

「あとどれくらいかかるかは分からないけど、そこはあまりストレスに考えずにやっていきたい。今、やれていることにしっかり手応えを感じることが大事。急いでしまうと後戻りしてしまうので」。外からは見えにくい心の内側を、宮里は1人静かに歩いていく。(タイ・チョンブリ/今岡涼太)

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