藍&さくら、6ダウンからミラクルドロー きっかけは“計測”
マッチプレーの醍醐味を凝縮した18ホールだった。米国メリーランド州にあるケイブスバレーGCで行われた国別対抗戦「インターナショナルクラウン」2日目、オーストラリアのキャサリン・カーク、リンゼイ・ライト組とフォアボールマッチプレーで対戦した宮里藍、横峯さくら組は、残り7ホールで6ダウンまで追い込まれながら、そこから6アップを奪ってオールスクエアに戻して貴重な1ポイントを獲得した。
「信じられないですよ」と宮里。「最後まで諦めなくて良かった」と横峯。好調なオーストラリア勢に11番までに6バーディを奪われて6ダウン。「1番の向こうのバーディは良いとして、2番のセカンドはお互いビトウィーン(アイアンの番手と番手の間)の距離が残って、お互い1つ下のクラブで打って(グリーン)手前だった。その辺からなんとなくそういう(悪い)流れになった」と宮里が振り返るように、2人合わせて1つのバーディも奪えないまま、勝負は早々に決するかに思われた。
潮目が変わったのは12番(パー5)。横峯が1.5メートルのバーディパットを沈めて、この日初めてアップを奪った直後、競技委員が来てこの組のプレーペースが遅いことを指摘し、時間計測に入ることを宣言した。
「大きかったですね」と宮里。「確実に(相手が遅くて)ペースが乱れていたし、マッチプレーだとプレーが遅くてペナルティを貰うとそのホールは負けになるから、みんなそれが頭にあったと思う。それで彼女達(オーストラリア組)の意識が違うところに行った分、すごく流れが変わったのかな」。
オーストラリア組は、直後の13番でボギーとすると、14番はダブルボギー。日本は3連続アップで3ダウンまで盛り返した。
流れは止まらない。15番をともにパーとして、ドーミーホールとなった16番(パー5)。「さくらがパーを獲ってくれていたので、迷いなく打った」という宮里が、2メートルのスライスラインを沈めてこの日初バーディで2ダウンへ。続く17番では、横峯がカラーから15メートルのバーディパットをねじ込んだ。その時、「入れ!」と叫んだ横峯の隣で、宮里は「一回しゃがんで、飛んだからね!」と歓喜のジャンプを見せていた。
そして最終18番は、またもオーストラリア組がパーオンを逃してボギーとする一方で、日本組は両者パーオンに成功して、宮里がバーディパットを50センチに寄せたところで、コンシード。先に勝ち、ホールアウトしていた宮里美香、比嘉真美子らに祝福され、グリーン上で日本チームの歓喜の輪が広がった。
(横峯)「16番で藍ちゃんが流れを作ってくれて、17番で入ったのはラッキー」
(宮里)「いやいや、あれがなかったら18番はないですから」
(横峯)「ま、お互い様(笑)」
(宮里)「お互い頑張ったね(笑)」
奇跡の追い上げを見せた宮里と横峯組。やはり、この2人はなにかを持っているのだろう。05年に行われた第1回「ワールドカップ女子ゴルフ」のチャンピオンも日本だった(宮里藍、北田瑠衣組)。再び初回大会での世界一の座も視野に入れ、この日3ポイントを獲得した日本はプールBでの首位を守った。(メリーランド州オーウィングスミルズ/今岡涼太)