7年目の宮里藍、変わるものと変わらないもの
今年で米国女子ツアー7年目に突入する宮里藍だが、これまでとは少し状況が異なっている。昨年で日本ツアーのシード権を失い、今年は自由に日米ツアーを往復するようなことはできなくなった。「正直、複雑な気持ちです」と悔しさも入り交じった感情を抱えるが、「7年目だけど、今年は本格的に腰を据えてこっちのツアーで頑張れるのかな」と、目標とするプレーヤー・オブ・ザ・イヤー獲得に向けて、迷いのない状況とも言えそうだ。
オフシーズンには、昨年の自身のスタッツを分析し、「アイアンの精度が良くなくて(パーオン率=59位)、その代わりパッティングのアベレージ(4位)が良かった。もう少しパーオン率が上がれば、バーディの数も増えたのかな」と、アイアンの距離感、精度アップに時間を費やしたという。また、昨年一度テストしていたというV-iQにアイアンのモデルも変え、「すごく易しくて、距離は変わらないけど球がよく上がります」と、その変更は特にロングアイアンで威力を発揮しそうだ。
先週一足先に米女子ツアーは開幕し、18歳のジェシカ・コルダがツアー初優勝を飾った。さらに、今年は今月17歳になったばかりのレクシー・トンプソンが初のフルシーズン参戦を果たすなど、ツアーは常に変化を続けている。この試合が今季初戦となる宮里は、「特に新しく始めることはないですし、今までの自分で戦っていくことです」と、逆に変わらない姿勢を貫く。この日一緒にラウンドした朴セリに「今年27歳になるんだよって言ったら、“信じられない”って言われました」と笑ったが、変わり続ける世界でも自分を見失わないのが、宮里の強みと言えるだろう。
当然、今季も目標はプレーヤー・オブ・ザ・イヤー獲得(年間最優秀選手賞)に置いている。「あとは、メジャーチャンピオンになりたいなと思います」と宮里。「7年目になって十分戦える気持ちはあるし、それが毎年強くなっていく一方なので、今年はその辺も視野にいれてやってきたいです」。地に足の着いた宮里の言葉が、強い説得力で迫ってきた。(タイ・チョンブリ/今岡涼太)