「こんなに自分を見失うんだ」米女子ツアー1年生・櫻井心那が苦しんだこと
◇米国女子◇ロッテ選手権 事前(30日)◇ホアカレイCC(ハワイ州)◇6530yd(パー72)
大会を4日後に控えた月曜日(9月28日)、櫻井心那は本戦出場権を争う予選会に出場した。設けられた2枠を逃しながら、開幕前日になって運が巡ってきた。午前中に欠場者が出て待機選手から繰り上がりが決定。早朝のクラブハウスで吉報を聞くとともに、急きょプロアマ戦のメンバーにも選ばれ、9ホールを回れた。
今シーズンの米女子ツアーは「これが最後だと思います」と、はっきり言う。「ビュイックLPGA上海」(中国・シェシャンGC)で始まる秋のアジアシリーズ(全4戦)の出場資格を持たず、シーズンを締めくくる米フロリダ州での2戦にもフィールド入りの見込みがない。年間ポイントランキング(レース・トゥ・CMEグローブ)173位というポジションの現実だ。
昨年の最終予選会を通過して立った新天地。ここまで13試合の出場で予選通過は4回にとどまり、最高成績は4月「リビエラマヤオープン」の42位。5月の「クローガークイーンシティ選手権」(54位)を最後に決勝ラウンドに進めていない。帰国してプレーした日本ツアーを含めても、直近11試合の予選落ちは10回に上る。
シーズンを通じてショットが思うようにいかない。納得できる一打が続かない。今週はセカンド以降に不安がある。だが櫻井は自分にもっと大きな問題があると知っている。苦悩に満ちたルーキーイヤーを表現するなら、「『こんなに自分を見失うんだ』みたいなものが分かりました」という言葉に尽きる。
大半の時間をスイングコーチ(目澤秀憲氏)と離れて過ごす米国生活。新しい環境は見るものすべてが新鮮で、思わず目移りすることもあった。「人に言われたことを真に受けて、いろんなことに手を出して、『あれ、いま何に取り組んでいるんだっけ?』と思ったり。練習場で良い感覚だったとしても、コースで悪い球が1球出ただけで『あの感覚は良くなかったんだ』と思い直して別の試行錯誤を始めて、最終的に何が悪かったのか、課題が見えなくなったり」。目先の結果にこだわるあまり、特効薬を手にしては捨てるうちに自分軸が歪んだ。
「『今度こそいける』、『今度こそはいける』って思って毎回、渡米するんですけど、全部予選落ち。練習してもうまくいかない。このフィールドにいると、自分で自分を追いこんでしまう。“結果主義”を改めて考えなきゃいけないと感じます」と悟った。いまは近い将来の選択肢を目の前に並べている。
先週の「アーカンソー選手権」で優勝した西村の姿に、素直に「めっちゃ感動しました」と実感を込めて言った。昨年末に一緒に予選会に出た先輩は、同じように来季の出場資格のキープが危うい状況から起死回生の初勝利で世界を変えた。だが、その裏には長年の蓄積があり、類まれなタフさが備わっているからこそだと櫻井も理解できる。
舞い降りてきた出場資格を無駄にするつもりはない。「今週の課題は今の取り組みを続けること。打つ前のアドレスもそう。『こういう状況、こういう風では、こういう球を打とう』といった自分のルールを決めて、やりきることも」。 その積み重ねこそが、なにより大切だと理解し始めたところだ。(ハワイ州エワビーチ/桂川洋一)