原英莉花のバッグを担いで72ホール 村田理沙が世界最高峰の“インサイドロープ”で見たもの
◇米国女子◇ザ・スタンダード ポートランドクラシック 最終日(16日)◇コロンビア・エッジウォーターCC (オレゴン州)◇6541yd(パー72)
セルフスタンドモデルの軽量キャディバッグとはいえ、4日間72ホールを担いで歩いたのは初めてのことだった。1試合限定で原英莉花のキャディを務めた村田理沙の表情は、それでも輝いていた。「一生の思い出、経験をさせてもらいました」
ともにTSIグルーヴアンドスポーツとウェア契約を結ぶ縁から決まったキャディ起用は、もともと村田が熱望したもの。父が米国人、母が日本人で2019年には米下部ツアー参戦も経験した。パティ・タバタナキット(タイ)、レオナ・マグワイア(アイルランド)、マチルダ・カストレン(フィンランド)といった、のちのレギュラーツアー優勝者たちを相手にしながら昇格を目指した当時は、立つことがかなわなかった舞台の雰囲気をどうしても味わってみたかった。
「すごくうれしかった」と感謝しつつ、絶対に迷惑をかけるわけにはいかないという緊張感もあった。まずは7月の国内男子ツアー「ジャパンプレーヤーズチャンピオンシップ」で阿久津未来也のバッグを担いで予行演習。会場入りしてからは、ともすれば自分がプレーする時以上に練習ラウンドでのコースチェックを入念に行った。
キャディとして戦うことで、試合に臨む準備の大切さを改めて実感。選手のサポートに徹し、最も近い位置からゲームを客観視することで見えてくるものもある。トップ選手が目の前の一打に対して発揮する高い集中力は、自分の世界に入り込み過ぎて視野が狭まってしまう状態と紙一重だったりする。「選手がいま冷静じゃないなとか、そういう風にラインを読みたくなるよねとか…」。感じ取った傾向と分析は、選手としてのメンタルコントロールに役立つ部分があるかもしれない。
ロープ内で見た「世界一のツアー」は、やはりレベルが高かった。その中でも上位争いを演じた原が繰り出す外連味(けれんみ)のないスイング、秀でたショット力に目を見開く。「私もいつか(米ツアーに)来られたらいいなと思ったんですけど、英莉花がすごすぎて、『無理かも…』って思っちゃいます」と苦笑しつつ、ひたすらリスペクトがにじむ。
「山陰ご縁むす美レディース」(27日~/鳥取・大山平原GC)から下部ステップ・アップ・ツアーでの戦いを再開する。両肩で感じるキャディバッグの重みとはお別れでも、受け取った特大の刺激はゴルフ人生の財産として胸に残り続ける。(オレゴン州ポートランド/亀山泰宏)