2026年 AIG女子オープン(全英女子)

自称「行き当たりばったり」の堅実派 次なる夢と目指す頂は/桑木志帆インタビュー【後編】

2026年 AIG女子オープン(全英女子) 桑木志帆
「全英女子」チャンピオンの桑木志帆が米ツアーでの目標を語った

2週前の「AIG女子オープン(全英女子)」で日本勢7人目となるメジャー制覇を遂げた桑木志帆。キャリア7試合目だった海外メジャーで初めての優勝争いを堂々と戦い抜き、世界最高峰のトーナメントで頂点に立った。一躍“時の人”となった23歳の単独インタビュー後編では、イングランドでも話題を呼んだド派手ウェアの裏話や来季から本格参戦する米ツアーでの目標を語った。<聞き手・構成/亀山泰宏、中村文香>

「チキりました…」ロブスター柄ウェアは幻に

2026年 AIG女子オープン(全英女子) 最終日 桑木志帆
優勝コーディネートは意外と?シンプルだった

大会2日目、首位と1打差2位の好位置で折り返した桑木に海外メディアが熱心に質問をぶつけていた。ゴルフのこと…はそこそこに、時間を割いたのは色鮮やかなネイル、ばっちりと決まっていたまつ毛について。優勝会見でも契約する「ラウドマウス」のド派手なウェアを「素敵」と褒めた上でこだわりを聞く記者がいた。

「目立ってなんぼだと思うので」と話す通り、同組になった選手やキャディ、メディアが興味を持ってくれていることがうれしい。最近お気に入りのカラーとして定着しつつあるグリーンのシャツに、黒のラインが入った白いパンツを合わせた最終日のコーディネートには、別案があったという。

2024年 JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ 3日目 桑木志帆
このロブスター柄パンツでメジャーを制する日は…

大会期間中のイングランドは冷え込む時間帯もあり、日本から寒さ対策のウェアを追加で持ってきてもらった。「その中に“ロブスター”が入っていて…」。優勝した2024年の国内ツアー最終戦「JLPGAツアーチャンピオンシップ リコーカップ」でも3日目に真っ赤なロブスター柄のパンツを着用したことがあった。

「ゲン担ぎでもいいかなと思いましたし、最終日に着るか悩んだんですけど…。ちょっと“チキり”ました」。急ごしらえのため上下の組み合わせでしっくりくるものがなく、この時ばかりは断念。ロブスター柄のウェアでメジャーの優勝カップを掲げる日は来季以降に持ち越しとなった。

抱いた野望とプロの壁「勢いだけじゃダメだ」

2026年 AIG女子オープン(全英女子) 最終日 桑木志帆
年間女王に輝いて来季米ツアーへ羽ばたきたい

全英女子優勝で一気に広がっていくキャリア。2027年からは米ツアーへの本格参戦を控え、ブレないスタンスを強調する。

「今回の優勝もそうなんですけど、大きい目標に向かって『絶対にやってやる!』というよりは目の前の一打、目の前の目標を頑張ってクリアしていったら、(その先に)すごくいい結果がある」。未知なるステージでの戦いを見据えるよりも、まずはメルセデスランキングポイント800ptを加算してトップを独走する年間女王レースに集中する。

2026年 AIG女子オープン(全英女子) 最終日 桑木志帆
両親とも現地で喜びを分かち合った

すでにゴルフを始めていた幼少期、母・浩子さんから娘に託す夢をそれとなく聞いたことがある。「『医者になったらいいのになあ…』って。『無理やわ!』って思いましたけど(笑)。お母さんはプロゴルファーになると思っていないから、安定した職に就いてほしかったんだと思います」

医師、公務員…。母の描いた未来は、実際に娘が身を置くことになる勝負の世界と対極に近かった。「いつも行き当たりばったり」と謙遜して自らを評するが、地に足のついた目標設定は、やはり親子に共通する部分を感じさせる。「プロになった時は“野望”もあったんです。『全部勝ってやるぞ!』みたいな。自信があったというか、勢いなんですよね。でも、壁に当たって、勢いだけじゃダメだなと思って」

海外ツアーは見ないけど…別格だった世界1位

2026年 シェブロン選手権 最終日 ネリー・コルダ
ネリー・コルダへの憧れ

もともと海外ツアーを習慣的に見るタイプではなく、プレーしている選手のこともほとんど知らなかったそう。ただ、世界ランキング1位のネリー・コルダは別格だった。

6月「全米女子オープン」、さらに全英女子でもあえて同じ組に名前を書き込み、一緒に練習ラウンドを回った。「オーラがあるし、落ち着きと風格があって、あんなふうに堂々としていたいなって。あと、ウェアの着こなしもめっちゃカッコいい」

2026年 全米女子オープン presented by アライ 事前 桑木志帆
「全米女子オープン」で勝ちたい

そのコルダが制し、自身も日本勢2番手の14位に食い込んで躍進のきっかけとなった全米女子オープンには、少なからず特別な思いを抱く。「メジャーで勝つことができた。あと4個あるので、いまはそれを獲りたいなと思っています。全米女子オープンを獲りたいです」

堅実派が口にした大きな夢の一端。それでも、目の前の課題にフォーカスすることは変わらない。14日開幕の国内ツアー「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」(長野・軽井沢72北C)から、新たな頂へとつながる一歩を踏み出す。

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