日本人がオーナーのリビエラCC 世界最高の舞台を支えるコースの歴史をたどる
ことし10月に100周年を迎えるカリフォルニア州のリビエラCCが、初めて女子ゴルフのメジャー「全米女子オープン」の開催コースに選ばれた。男子ゴルフでもメジャー戦の「全米オープン」と「全米プロ」、タイガー・ウッズ主宰のPGAツアー「ザ・ジェネシス招待」など、世界最高峰のトーナメントをホストしてきた実績を誇る。全米ゴルフ協会(USGA)の主催競技としては全米オープンのほか、「全米アマチュア選手権」と「全米シニア」も開催した。
不動産やマリーナ事業などを営むリビエラグループ(本社:東京)の渡邊曻氏がオーナーを務め、娘の渡邊富士子氏がCEOを務めるアメリカ現地法人が運営する名門コースの歴史をたどった。
歴史ある名門コースを継承するまで
曻氏がリビエラCCに出会ったのはUCLAの短期留学中に偶然訪れる機会を得た20歳の時。「アジア人学生の私は、相手にもされていなかった」という虚しさを味わいながらも、カントリークラブの伝統や格式の上に成り立つ社会貢献のカルチャーに触れて「いつか社会に貢献できる人間になりたい」と強烈な思いが胸に深く刻まれたという。
リビエラCCを承継したのは1988年のこと。曻氏の「磨き上げ、そして守る」という言葉が前オーナーの心に響き、歴史あるコースの継承に繋がった。そして、翌89年に登記を完了させ、名だたるトーナメントの舞台に選ばれるコースとして続いてきた。
ロサンゼルス市内に位置し、サンタモニカからの海風が入るリビエラCCは一年を通じて温暖で涼しい。「地中海のリビエラ地方の気候に似ている」ことからリビエラCCと名付けられた当地は、丘の上に建つクラブハウスからコースを一望でき、コースからも常にクラブハウスが見える設計になっている。
リビエラCCの流儀
100周年を機にクラブハウスを建て替える名門ゴルフ場が多い中で、リビエラCCは象徴的なクラブハウスを残す道を選んだ。2022年から始まった本格的な復元(レストレーション)への取り組みは今も続き、全館ミュージアム化によってレジェンドたちの物語が宿る歴史と空気感を現代でも伝える。
「私たちがもっとも大切にしているのは磨き上げです。『変えてはならない伝統の継承』と『時代に応じた革新』の融合が長い歴史をつくるという想いで、1988年から惜しみなくコースに投資してきました。名匠ジョージ・トーマスが設計したオリジナルデザインを蘇らせるために、時間と技術を投入し、さらに現代のプロゴルファーの飛距離や技術の進化に対応した細やかなコース改修を施してきました」。“365日いつでもトーナメントコース”を目指したメンテナンスがリビエラCCのスタンダードになる。
また、地域コミュニティを大事にする姿勢も貫き通してきたポリシーのひとつ。2025年1月7日にロサンゼルス近郊で発生した極度の乾燥と強風で被害が拡大した史上最大規模の山火事では、地域支援のためにまず100万ドルの寄付を行った。
「1ブロック先まで火が迫った中で、リビエラは甚大な被害を免れ、100年の歴史を守ることが出来たことは奇跡に等しい。リビエラCCが残された意味は何か?この問いは時間が経過しても脳裏から離れませんでした。地域コミュニティのために、私たちにできることを力の限り行う」と複数のチャリティイベントを主催し、リビエラ財団も通じて総額300万ドルを超える寄付を行って復興支援を続けている。
世界をつなぐ架け橋に
リビエラCCは今年の「全米女子オープン」を終えると2028年に「ロサンゼルス五輪」、そして31年に「全米オープン」の開催が決まっている。世界最高峰の大会を立て続けに開催することについて、「最高の誉れであり、同時にその歴史的責任の重さに身を引き締めている」と大会を迎える側としての決意をにじませた。
「単なる『歴史あるプライベートクラブ』にとどめず、『世界のゴルフ界の発展をけん引し、未来の世代へインスピレーションを与えつづける舞台』へ進化させていきたい」と強い思いをのぞかせる。当地で開催された大会に出場したロリー・マキロイ(北アイルランド)から「ここは“考える人”のコース」と評されたほか、ジョーダン・スピースからも「世界でも有数のコース」という言葉がリビエラCCには残る。
「女子ゴルフのさらなる地位向上、オリンピックがもたらす平和とスポーツの融合、そして男子メジャーの頂点である全米オープン。これらを通じて、スポーツが持つポジティブなエネルギーやサスティナブルな社会へのメッセージを世界へ発信していきます。日本人がオーナーであるからこそ日米、そして世界をつなぐ架け橋として、次の100年もゴルフ文化の未来に貢献し続けてまいります」。世界最高峰の舞台を支えようと尽力する日本人の姿が、そこにはあった。(編集部・石井操)