衰えぬ情熱と“こだわり”に重なる選手は 上田桃子が感じた原英莉花の覚悟
上田桃子は今も、トーナメントを見ない週はない。2024年にツアーの第一線を退いた後も、ゴルフへの情熱は変わらない。解説業に加え、ウェア契約を結ぶ『PEARLY GATES』の“GOLD RABBIT”ディレクション業務にも精力的に取り組む日々。6月のメジャー「全米女子オープン」(カリフォルニア州リビエラCC)では、現地で中継局U-NEXT のラウンドレポーターを務める予定だ。世界最高峰の舞台で戦った経験、そして自身と同じ「コダワリ」を感じる選手について話を聞いた。(編集部・中村文香)
ゴルフを語るテンポの良さは、第一線で戦っていた時のままだった。ただ、その表情はどこか柔らかい。昨年10月に第一子となる長男を出産し、現在は育児にも奮闘中。それでも、毎週のように国内外のツアー映像をチェックしているという。
「自分のゴルフをやっていた時には、とにかく準備をすごく大事にしていたんです。今の仕事をするにも、常にいろんな選手を見ておかないといけない。そういう準備をするという部分では、現役のやり方と同じなのかなっていう風に思っているので。今年の(国内)ツアーはほぼ全部見ていますし、新しく出てきた選手はより注目してみたり…」
ツアー通算17勝、米国でも6シーズン戦った名手は当時、プレー面でのこだわりも徹底していた。それは練習場でのターフだ。ターフ跡を意識することでクラブの入射角が一定になり、安定したショットへとつながる。上田が練習を終えると、2mほどの美しいターフの線が5本残った。今もスマートフォンに残る写真を見ながら、「懐かしい~」と笑った。かつて戦った米ツアーに、今季は日本勢15人が参戦している。その中で自身と同じこだわりを感じている選手として挙げたのが、山下美夢有と竹田麗央だった。
「特に山下選手は一緒に戦っていた時からショットメーカーだと思っていました。クラブの入射角が安定していて、アイアンの精度は群を抜いてうまい。特に100yd以内のショットへのこだわりを感じています。アメリカではパワーも必要な中で、どこまで山下選手のアイアンの精度が通用するのか、すごく楽しみにしています。竹田選手はドライバーに関してのこだわりをすごく感じる。やはりよく練習しているし、飛距離が出る選手だから刻んでもいいかなと思うところでもドライバーを打っているので、ドライバーが好きなんだろうなと思って見ていますね」
熱い口調で“解説”したのちに、もう一人、気になる選手がいると続けた。下部エプソンツアーから昇格して奮闘する原英莉花の変化についてだった。
「日本で戦っていた頃と、いま海外で戦っている原選手のマインドは、すごく変わったなと、プレーを見たり、発言を記事で読んで感じます。日本で戦っていた時ももちろんだけど、それ以上の覚悟を感じるんです。やはり下部ツアーを戦った中で技術的な引き出しだけじゃなくて、精神的な引き出しも増えている印象を受けました。アメリカで結果が出るだろうなって思っています」
第一線を退いたいま、作り手としてもゴルフと向き合う。昨夏から会議を重ね、上田がディレクションした『PEARLY GATES』限定コレクション“GOLD RABBIT”。今年4月に発売された第一弾はわずか30分で販売予定枚数に到達。その後も応募数は増え続け、入手困難なアイテムとなった。その第2弾が5月13日に抽選受付開始となる。お気に入りだった2014年当時のコレクションのマーガレットデザインを復刻させ、そこにアレンジを加えたこだわりの一品だ。
「20年間、パーリーゲイツを着た中でも印象に残っているデザインで、かつ、いまでも色あせない。こうやって新しいことをして、いろんなことが起きていくのがすごくうれしい。新しいチャレンジをしているから、ワクワクが絶えないのかなって思うんです」
そして6月にも、新たなチャレンジが待っている。全米女子オープンで米ツアーでは初めてラウンドレポーターを務める。「一番勝ちたかったメジャーを勝つ選手はどういう選手なのか。日本で普段見られない選手の変化も楽しみ」。こちらもこだわりの詰まった現地からのレポートになる予感。上田のゴルフへの情熱は、いまも変わらない。