シルバーコレクター、“イップス説”乗り越え 西郷真央が日本勢5人目の女子メジャー制覇
◇女子メジャー第1戦◇シェブロン選手権 最終日(27日)◇ザ・クラブatカールトンウッズ(テキサス州)◇6911yd(パー72)
23歳の西郷真央が日本女子ゴルフ史上5人目のメジャー制覇を成し遂げた。9アンダーの首位タイから3バーディ、5ボギーの「74」で回り、通算7アンダーで5人が並ぶプレーオフへ。1ホール目で唯一バーディを奪って決着をつけ、米女子ツアー初勝利をビッグタイトルで飾った。
米ツアー2勝のユ・ヘラン(韓国)とトップで並んで迎えた最終日。西郷は首位タイのまま折り返した後半にスコアを落とし、追いかける立場に変わったが、1打ビハインドで迎えた最終18番(パー5)で2.5mのバーディパットを決めてガッツポーズ。プレーオフでも1m強のウィニングパットを決めた瞬間、再び力強く右こぶしを握った。
千葉県船橋市出身。ゴルフ好きの父の影響で、5歳でクラブを握った。麗澤高時代に尾崎将司主宰のジャンボ尾崎ゴルフアカデミーの1期生として腕を磨き、3年時には「日本女子アマチュア選手権」で優勝した。
同年、日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)のプロテストに合格し、コロナ禍で統合シーズンとなった2020―21年にデビュー。トップ10入り21回、うち2位を7回記録しながら優勝できなかった。“シルバーコレクター”の汚名を返上したのが翌22年。開幕戦を手始めに5月までに5勝を挙げ、トッププロの階段を上った。
同年の冬には極度の不振に陥り、最終戦では4日間で通算35オーバーの大たたき。1Wショットが制御できない症状から、周囲は「イップス」とささやいた。大スランプを23年シーズン中ごろには乗り越え、11月に日本ツアー6勝目。直後に挑戦した米ツアーの予選会を2位で通過した。新天地での初年度となった昨年は優勝こそなかったが、1990年の小林浩美以来となる日本勢2人目のルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得。初タイトルを待ち望んでいた。
日本人選手による女子メジャー制覇は樋口久子(1977年・全米女子プロ)、渋野日向子(2019年・全英女子オープン)、笹生優花(2021&24年・全米女子オープン)、古江彩佳(2024年・エビアン選手権)以来5人目(通算6勝目)。1972年に始まり、83年に前身の「ナビスコ・ダイナ・ショア」としてメジャーに昇格した本大会を制したのは初めてで、日本勢は現存する5つの女子メジャータイトルすべてを制した。
優勝賞金120万ドル(約1億7275万円)を獲得。メジャーで米女子ツアー初勝利を手にしたのは2023年「全米女子オープン」を制したアリセン・コープス以来46人目となった。