2025年 ヒルトン・グランドバケーションズ トーナメント・オブ・チャンピオンズ

なぜLPGAにPGAツアーのスタッフが? ゴルフ界に見る米国の過酷なリストラ事情

2025年 ヒルトン・グランドバケーションズ トーナメント・オブ・チャンピオンズ 事前 ダグ・マイル
米国の雇用戦線は厳しい

米LPGA開幕戦「ヒルトングランドバケーションズ・トーナメントオブチャンピオンズ」の会場には、水曜(1月29日)の午後に入った。いつもの通りメディアセンターに到着すると、昨年と変わらない顔ぶれがそろっていた。ところが、その中の一人にすぐ目がいった。

ダグ・マイル氏だ。長年PGAツアーのメディアオフィシャルとして男子ツアーの会場にいたベテランで、昨秋の大会でもメディアセンターで顔を合わせた間柄。どうしてあなたが女子の会場に?と疑問符が頭に浮かんだ。

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「実は、昨年12月にPGAツアーから解雇されたんです。今回はたまたまこの大会から声が掛かったのですが、新しい仕事を探しているんです」

コロナ禍の最中にPGAツアーは大幅なリストラを断行し、ベテランのカメラマンら多くの人がPGAツアーを去っていった。そして昨年12月、マイル氏を含むベテラン従業員がさらに解雇され、今も残る人たちは「リストラはまだ続くようだ」と戦々恐々しているという。

PGAツアーは大幅な新陳代謝を断行中で、マイル氏一人の給料で増員中の若いSNS専門職員を2、3人雇えるらしく、デジタル時代に合わせた体制を強化しているようだ。一方で、LIVゴルフの登場により競争環境にさらされた結果のリストラ、と見る向きもある。

2025年 ヒルトン・グランドバケーションズ トーナメント・オブ・チャンピオンズ 事前 ダグ・マイル
ベテランにリストラの波が

米国で正社員が解雇される際、日本と比較すると驚くべき早さで行われる。マイル氏の場合も、昨年11月末まで友達のような関係で一緒に働いていた上司から、12月に入ると何の予告もなく突然解雇を告げられ、すぐにオフィスを引き払わなければならなかったそうだ。「さよならの挨拶すらなかったのが残念」と悲しそうだった。

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「1991年からずっとPGAツアーで働いていたから、公共料金の支払いアカウントもPGAツアーのメールアドレスを登録していた。全ての変更手続きに追われています。知り合いも多くがツアーのメアドでつながっていたので、連絡が就活以上に大変」と近況を語る。
マイル氏は精力的に新天地を探して、USGAやPGAオブアメリカなどに求人の問い合わせを続けているという。そんな話を仕事帰りのバスの中でしながら、筆者は半分冗談で「じゃあ、LIVゴルフに連絡してみたら?」と言うと、マイル氏は即答した。

「LIVには一番初めに連絡したよ。前にPGAツアーにいた同僚が働いているからさ」。マイル氏の就職活動が成功することを願っている。(JJ田辺カメラマン)

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