アニカに藍に並ぶコースレコード 脇元華は初優勝なら即米ツアー挑戦
◇日米女子ツアー共催◇TOTOジャパンクラシック 初日(31日)◇瀬田GC 北コース (滋賀)◇6616yd(パー72)◇晴れ(観衆2759人)
もしも勝ったら、「アメリカにチャレンジしたいです」ときっぱり言った。脇元華が「ゴルフにスイッチが入った」というのが、中学2年生だった頃の2012年2月。タイでの合宿中に米女子ツアー「ホンダLPGAクラシック」を生観戦したときだった。
宮里藍に上田桃子、ミッシェル・ウィ、ツェン・ヤニ(台湾)…各国のスター選手の姿は今も目に焼き付いている。「海外トップクラスの選手を見て、本当に刺激を受けた。『私もここで戦いたい、いつかここに立ちたい』と決めて練習に励みだしたきっかけでした」。ジュニア時代から海外志向を育み、日女子プロゴルフ協会(JLPGA)のプロテスト合格前に、台湾ツアーに挑戦したのも自然な流れだった。
昨年のメジャー「全米女子オープン」で米ツアー初出場。今週初めて踏んだ日米ツアー共催大会で本人も驚きのロケットスタートを決めた。出だしの10番で4mを沈めてバーディが先行し、後半2番までに6バーディ。ティショットがグリーン奥のカート道を越えた3番(パー3)で3mを沈めてパーを拾いさらに加速した。最終9番はグリーン手前から「ワンチャン入る」SWでの3打目を決めてチップインバーディで締めくくった。
9バーディ「63」は瀬田GCで行われた本大会の18ホール最少ストローク。2003&04年のアニカ・ソレンスタム(スウェーデン)、04年の宮里らに並ぶスコアに「藍さんと一緒? めっちゃうれしいです」と笑った。タレントぞろいのゲームで、これまでのツアーの自己ベストスコアも2打更新した。
日本で未勝利ながら、3114万円を超えた年間獲得賞金はすでにキャリアで最高額。ベストシーズンを過ごしていても27歳は貪欲でいる。2週前の「マスターズGCレディース」では畑岡奈紗、山下美夢有との練習ラウンドに交じった。「奈紗ちゃんの体幹の強さにビックリした。あそこまで軸が安定した選手を初めて見た。美夢有ちゃんはどんな傾斜からでもフラットなライから打っているようなスイング。振り切ることって大事だなと勉強になった」。年下の選手たちからも盗みたい技はいくつもあった。
「日本では『日本(ツアー)でも勝てないのにアメリカに行っても…』という(声がある)感じ。あまり大きい声では言えないけれど」、脇元にも諦められないものがある。悲願の初勝利が夢に直結するタイトル。「まだあと3日ある。気を緩めずに自分のゴルフに集中したい」と口を結んだ。(滋賀県大津市/桂川洋一)
■ TOTOジャパンクラシック・瀬田GCでの18ホール最少ストローク
「63」(―9)
2003年 アニカ・ソレンスタム(1R、2R)
2004年 アニカ・ソレンスタム、中嶋千尋(1R)、大場美智恵、宮里藍(FR)
2005年 ヤング・キム(1R)
2024年 脇元華(1R)